バカとテストと召喚獣9 / 井上堅二

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

FクラスとCクラスの試召戦争が激化する9巻。
ただでさえ戦力差があるところに仲間割れによるダメージ、そして参謀を得たCクラスの策によって追い込まれていくFクラス。苦しい戦いを強いられる雄二と、遅刻によって予期せぬ形と遊撃要因となっていた明久。作戦面でも相手に上を行かれたと思った次の瞬間、Fクラスへと流れを変えたものが素晴らしかったです。
ブコメ控えめなこの巻は、姫路さんの頑張りと明久の真っ直ぐさ、そしてなにより雄二と明久の間の信頼関係が光っていました。言葉を交わす必要なんて無い。普段は喧嘩ばかりしていて、一緒にロクでもないことばかりして、それでもいざという勝負時には相手に全幅の信頼を置いて自分のやることに突き進める、親友というよりも戦友といった方が良いようなこの関係。走りだした明久、それだけで悟った雄二、そしてあの第5問ラストは痺れるものがありました。ここでこう来るかというイラストがまた……!
ただ、試召戦争自体は凝ったことをやろうとしているせいか、説明が回りくどいのか、図解はあるもののすっと頭に入って来にくい感じが。腰をすえて読めばもちろん理解はできるのですが、勢いとリーダビリティが魅力のシリーズだと思っているだけに、いまいちノリきれなくなるところもあってちょっと残念な気も。
とはいえ、Aクラスの4人に妙に可愛がられるというか餌付けされる明久への納得感とか、姫路さんの決心と明久に見えた変化とか、色々面白いところのある一冊でした。対Aクラスの試召戦争も、明久を巡る恋の行方も、いよいよクライマックスという感じがして次の感が楽しみです。
ちなみにこの巻、真面目にバカテストが半分くらい解けないのですが、これだんだん難しくなっていません……?