
- 作者: 遠藤達哉
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/02/04
- メディア: コミック
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皇女であるカグヤが追われながらも、色々なことを経験して成長していくという話が基本になっているのですが、人の上に立つ者になるということに対してかなり本気の作品になりそうな予感のする第2巻でした。人を守るためにしか使えない枷のかけられた宝刀の力を解放した時に、カグヤが何を為すのか。あらゆるものを救うことはできない、常に正しいことばかりではない、その世界の中で国を治める立場につくこと。作中でも触れられていますが、どこまでもまっすぐに、母フジヤの背中だけを見て走るカグヤだからこそ、その真っ直ぐさが道を踏み外した暴走につながることもあり得るわけで、そういう意味では象徴的に描かれる"すりこぎ帝"暴君ハトヤが現代に落とし続ける影、そして清濁併せ呑むという意味ではカグヤよりずっと割り切れている梅の姫君であるイズミヤの存在を含めて、彼女が皇女としてどのように育っていくのかが楽しみになりました。
そして新キャラのクラッカー少年アビコ。事実に近づきすぎて罪を着せられた父親を持つ少年の存在は、事実を明らかにするということの意味を問い続けることになりそう。人の上に立つ者としてのカグヤと、それと相いれぬ部分も出てくるであろう事実を追う者としてのアビコ。この二人が一緒に歩む中で、どのように成長をしていくのかも楽しみです。ただ、あまりに大きく重たいテーマを扱おうとしていて、それをどこまでしっかりと、かつエンターテイメントとして描けるかは作者の力量がかなり問われてくるのだろうという気も。とはいっても、それはこの先どんどん面白くなる余地があるということでもあるので、期待して待っていたいと思います。
相変わらず、生き生きとした表情と動きのキャラクターたちに、迫力のある動きも魅力的。今私が追いかけているマンガの中でも一番楽しみなシリーズの一つです。