やさしいセカイのつくりかた 1 / 竹葉久美子

飛び級でアメリカに渡り研究を続けていた若き天才青年。しかしスポンサー企業の倒産によりプロジェクトは立ち消え、失意のまま日本に戻るも研究再開の目処は絶たず、恩師の頼みで付いた職業は高校教師でした、しかも女子高、と言う話。
研究一筋な理系メガネ男子(19)な朝永を女子高生の園の中に投げ入れてみました的なノリで、また彼が意外とカッコイイものだから話はそういう感じの方向へ。とはいえ、前任者は生徒に手を出して退職に追い込まれているため色々神経過敏になっていたり、生徒たちにはなめられたりと苦難の毎日が続きます。
そんな朝永を巡る話の中心となるのは、飛び抜けた物理学の才能を持ちつつそれをひた隠す葵と、読者モデルをしていた見た目ギャル中身は純情なハルカ。自分の才能を信じ、自分の進みたい道を無理矢理にでも歩んできた朝永と、平凡な高校生として暮らしながら隠れて専門書を読みあさる葵。好きでたまらない様子は漏れてくるのに、彼女が研究の道に踏み出せない理由と、そんな彼女のことが分からない朝永の関係はベタながらとても良い感じ。
そこに、前任者が手を出した事件の被害者で、始めは朝永に反発しながらだんだんと惹かれ始めるハルカの想いが絡んできて、話は三角関係の様相を呈してきます。研究バカな朝永に、想いをあまり表に出さない葵、そして不器用で純情なハルカ。このピュアすぎるくらいにピュアな三角形が、線の細いスッキリとした絵と相まってとても良い感じでした。
この先も色々なことやつらいことも起こってきそうで、この子たちがどうなっていくのかとても気になる一冊。少女マンガっぽい青年マンガが好きな人にはオススメです。