双界幻幽伝 宿敵は神出鬼没! / 木村千世
- 作者: 木村千世,くまの柚子
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2011/08/11
- メディア: 文庫
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この巻でも相変わらずにやにやさせてくれる二人ではありましたが、あとほんの一押しなのにどうしてというもどかしさが1巻と比べると大きかったような感じ。もうほとんど正解なのに、あとすんでのところで気がつかないような、寸止めともまた違うやきもき感!
というのも、朧月の方は蒼刻に限らず多方面からモテモテに見えるのに、自己評価が低すぎるせいでそんな訳がないとその考えを遠ざけていたり、蒼刻の方は朧月に惹かれていることが言ってることからもやってることからも見え見えなのに、何故かそれがそういうものであることだけは無意識に認めなかったりで、散々いちゃいちゃしている(ようにしか見えない)のに何故か噛み合わないこの感じ。お互いにそういうものと自分は無縁だと考えてる節があるので、あとはもう覚悟決めちゃえと思いつつも、すんなりくっついたらくっついたで面白みがないしなぁと思ったりもする一冊でした。
お話の方は相変わらず安心して読める感じ。幽鬼を操る道士張宝の暗躍を止めるべく蒼刻と護花七将軍の煌言が動くという話の中で、張宝の使役する<雷公>と蒼刻の浅からぬ縁が明らかになったり、いつでも平静に見える蒼刻の苦悩があったり、朧月の彼女なりに精一杯の頑張りがあったり。乙女ちっくな将軍様や、ミステリアスな悪役道士といった美形キャラクターたちにやたらとモテる朧月や、ひきこもり気質な彼女の意外に前向きで芯の強い奮闘っぷりは、すごく少女向けの小説という感じがします。
そしてそんな物語のシリアスな部分がしっかりしているからこそ、この作品の魅力である朧月と蒼刻の掛け合いと、それを面白がったり見守ったりする周りの様子が引き立つのかなと思います。慣れてきたからなのか朧月に対して思いの外鬼畜なところを見せる蒼刻と、蒼刻に虐められたり困らされたりしても悪くは思っていない朧月の様子を見ていると、二人の関係がだんだん新しいステージへと進んでいくような気がしたりしなかったりもしつつ、次の巻を楽しみに待っていたいと思います。