双界幻幽伝 二人は一触即発！ / 木村千世

双界幻幽伝　二人は一触即発! (ビーズログ文庫)

天祥に護衛を頼まれて連れだされたひきこもり珍獣な朧月と蒼刻が、旅先でイチャイチャする話、のような何かでした。
というかもうなんというか、お前ら早くくっつけよいいからくっつけよだー！ みたいな感じになるこの破壊力が本当に。色々あってそういうものを遠ざけようとする割に、びっくりするほどの無防備さを誇り、しかも気立ては良くて可愛いという朧月が、周りのイケメンたちからひたすらちやほやされたり餌付けされるという、少女向けらしい感じなのですが、天祥様が臘月にちょっかいを掛ける度に不機嫌になる蒼刻のお前はもう感が。独占欲強めで、なのに二人でいるととりあえず意地悪したくなる的な行動が、お前はどこの小学生男子かと。ただ、強めに迫ってもそんな訳無いと思ってしまう朧月の方もあれでそれで、お前らはもう本当に！ な感じで。
そんな二人ではありますが、お酒が入った臘月の普段では見られない積極的な所が見えたりと、確実に距離は縮まっているような感じ。とにもかくにも、ひきこもり珍獣で後ろ向きなようで、思いの外しっかりしていて芯の強い朧月が可愛いのでまあいいかなと思えてしまうのでした。
物語的には二人の関係に暗雲を落とすような、不穏な動きが出てきたりしていて、ちょっとこの先どうなるのというところ。でも、たとえ何があってもこの二人は一緒にいられればいいなと思わせてくれる一冊でした。