STEINS;GATE―シュタインズ・ゲート― 比翼恋理のアンダーリン 1 / 5pb×ニトロプラス・海羽超史郎

「比翼恋理のだーりん」は未プレイですが、いわゆるファンディスク的なヒロインとのラブコメ展開の軽い話だという風に認識していて、そのノベライズだと思って読み始めたら「あれ?」となった一冊。よく見ると帯には「比翼恋理のだーりん」と似て非なる世界線とありました。
表紙のネコミミクリスがツンドラメイドとして活躍したり、ルカ子に女性ファンが大量についたりする皆でフェイリスのもとでメイド喫茶バイトする話。そのフェイリスの普通の女の子としての一面が見えるデート話。さらにはラボメン総出で何故かバンドに挑もうとする話に、オカルト雑誌のヤラセ取材で萌郁と二人肝試し的展開から家に呼ばれてみたりと、元がファンディスクなのが伺えるような甘い展開と、相変わらずに乱舞するネットスラング的なものの相乗効果で、読んでいてくらくらしてくるようなところも。
ただ、最初の部分から、ところどころに埋められた不穏な気配が、それだけを楽しませてはくれません。フラッシュバックのようにかすめる、本編でオカリンがたどった記憶。過去をなくしたこのオカリンが、一体何を経験して、どうしてこの世界線にいるのか。そうやって緩くて甘い話と不穏な話がミックスされている分どちらとしても楽しみ辛い所があって、前半は読んでいて苦しいところもあったのですが、終盤からラストの展開には一気に引きこまれました。何をどう書いてもネタバレになってしまうので書きませんが、この世界線は一体何がどうしていて、誰が何をしようとしているのか、2巻が楽しみです。