@HOME 2 妹といちゃいちゃしたらダメですか? / 藤原祐

血の繋がらない倉須家の七人兄弟の物語、今回は妹の芽々子にスポットを当てた一冊でした。
「家族の物語」といってもそこはこの作者らしく、素直に幸せなだけのコメディにはなりません。家族依存症な芽々子との関係を測りかねていた響のちょっとした言葉と態度で、その関係は思いもかけない方向にこじれてしまって。できたばかりの兄に過剰なまでにべったりするする芽々子。家族依存症。そして、そこに隠された過去と本心。
それは決して軽くはなく、歪なもので。でも、この物語はそんな歪な心を抱えた、血も繋がらない兄弟たちの姿に、家族という繋がりを夢見るものだと思うのです。何も隠さないで本心でぶつかりあえる、お互いが困ったら理由なく助け合える、そして未来に向かって築きあげていく絶対に切れることのない関係。綺麗事に過ぎるくらい、理想的な、夢みたいな家族という絆を、血の繋がりのない、それぞれに事情を抱えた、他人だった兄弟たちの姿に託して。
こじれた関係を吹き飛ばして芽々子の心の扉を開いた、響の兄としての、家族としての言葉。そんな兄弟たちの姿に、過剰に感傷的で祈りのようなそれに、どこか救われるような気がする一冊でした。他の兄弟にスポットが当たるだろうこの先の物語も楽しみです。
話は変わりますが、芽々子の友人の優菜の響に対する態度は、思い込みと友人への思いから来る子どもらしいものだとは分かっていても、こう、イラッとくるものが……。今回はこういう結果になってしまった彼女ですが、友人を思う気持ちは間違っていないと思うので、この先どこかでフォロー的なものがあればいいなと思いました。