- 作者: 遠藤達哉
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/03/02
- メディア: コミック
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松の双子にしてもイズミヤにしても、カグヤ自身にしても、これは大きすぎる立場や宿命を背負って生まれて、追い詰められ続ける子どもたちの、闘いの物語なのだと思います。そしてその追いつめられていく描写、そこにこめられるだけこめたような感情の強さはさすがこの作者という感じ。特に十九の噺で追いつめられて狂っていくイズミヤの畳み掛けるようなモノローグはゾクッと来るものがありました。人に触れられない体質ゆえのネクロフィル、これはキてるなと。
そしてそのギリギリの中でも折れて壊れてしまうのか、それとも前を向いて歯を食いしばって未来へと進めるのか、それがカグヤにはできたから、そんな紙一重がこの結末へと繋がっていったのだと思います。鰭の噺でのカグヤには、そういったものを乗り越えて来た少女の眩しい姿があって、思わず涙腺が熱くなるものがありました。
そんな訳で前作「TISTA」に続いて、これも大好きな作品となりました。この作者は次の作品が出たら絶対に読みます。