ウルトラマン妹 / 円谷プロダクション・小林雄次

スマッシュ文庫妹組という謎の企画の中でも「円谷プロダクション監修」で異彩を放つ、妹がウルトラマンな作品。スマッシュ文庫はいろいろ尖りすぎていて面白いです。
という訳で、怪獣に襲われた翔太とあかりの兄妹のもとに光の球が降りてきてという、お客速なシチュエーションで始まる物語は、しかし降りてきたウルトラマンが女性だったことから妹のあかりと一体になって、という文字通り「妹はウルトラマン」な展開に。ただ、そのウルトラ戦士であるジャンヌがまだ見習いだったり、巻き込まれた二人もまだ学生だったりするので、話はどこかスケールのちっちゃい子どもたちの話のような感じになっていきます。
という訳で、妹もの+ウルトラマンという接点のなさそうな2つを、本当にそのまま生真面目に融合させた作品でした。兄べったりな妹のあかりと、情けないながら頑張ろうとする翔太の二人にジャンヌという落ちこぼれウルトラ戦士が絡んで、最後は地球侵略を狙う怪獣との戦いが、みたいな。ただ、ノリ的に妹萌えな部分にかなり無理矢理感があって、読んでいてちょっとどうかと思うところも。その部分を除けば今っぽいライトノベルと言うよりも児童文学〜ジュブナイルな雰囲気があって、そこにウルトラマンという要素を加えたと言った方がイメージ的には正しいのかも知れません。なので、読んでいて私は対象からは外れているんだろうなと思ったり。
そういった部分もあり、書いている人が脚本メインで仕事をしている人だからか展開と地の文がやたらと淡々としているように感じるところもあり、ちょっと個人的には楽しみきれないところの多い作品ではありましたが、ウルトラマンというもうかれこれ何十年も年月を重ねた作品から今こういう企画が出てくるという事自体が面白いと思う部分はすごくありました。同時発売で戦隊物+妹やロード・オブ・ザ・リング+妹な作品もあったりしているので、次はゴジラ+妹な作品が飛び出したりしないか、ちょっとだけ期待していたいと思います。