すべての希望にエールを HERO個人作品集4 / HERO

このどうにもならない世界の中、ほんの少し踏み出した一歩で、少しづつ変わっていく毎日、みたいな話が私は好きでしかたがないのですが、もう本当にこの人の作品集はそういうお話が多くて素晴らしいと思います。特に表題作「すべての希望にエールを」の、自殺しようとしていたいじめられっ子とそのためのクスリを40万円で売るといってバイトを斡旋する青年の話が良かったです。滅茶苦茶なやり方で、でもそんなきっかけでも、確かに人は救われて、少しだけ変わることができる。ドラマチックでも、世界を揺るがすようなことでもない、その些細な視点の変化が、どれだけ特別なことであるか! しかも、それが続いて、つながっていく何かであることに、何か救いのようなものを見れるお話でした。
あと「箱庭の寒がりハイジ」はものすごいナチュラルに○○○かよ! と突っ込みたくなったり。