一人が好きなバツイチ、結婚したいと想うキャリアウーマン、別居中の新婚さん、そんな30過ぎの3人の女性たちが一緒に暮らすことになって、という話を3人それぞれの視点で描いた連作短編集。3人の年齢もあって、ここにあるのは恋に恋するような恋愛ではなく、生活に直結する結婚と恋、そして誰かと共に生きていくということでした。3人とも別々の境遇で、考え方も違って、けれど重なった時間の中でそれぞれの日々が重ねられていくような女3人の友情の居心地の良さもまた、他人と共に生きること。結婚というのもまた、一緒にいたい他人と共に生きるということ。少女マンガ的な夢見るようなところと、年齢相応に現実的なところのバランスの上で、人と人とが関わりあうこと、そして寄り添っていくことの優しさと温かさを感じさせてくれて、思わずうるっとくるようなとてもとても良いものでした。特にサワ編の、数えきれない打算と純粋過ぎる気持ちの先に、寄り添い共に歩んでいくような幸せの形が素敵。良いものを読んだと思える一冊でした。
