神様ゲーム / 麻耶雄嵩

神様ゲーム (講談社ノベルス)

神様ゲーム (講談社ノベルス)

これはトイレ掃除を通じて、小学生と神様の心の交流を描いたお話です。

少年少女のためのミステリーランドと言いながら子どもには読ませたくないとか、もし読んだらトラウマものとか、いろいろな噂を聞いてから読んだのですが、まさにその通りな作品でした。メルカトルは出ないけれどやっていることは似たようなもので、これぞ麻耶雄嵩なのだとは思いますが!
探偵団で秘密基地を作って集まったり、クラスメイトに恋心を抱いていたり、戦隊ヒーローが好きだったりするいわゆる普通の小学生の男の子が主人公。探偵団で猫殺し事件を調べようということになって、トイレ掃除で一緒になった自称神様の鈴木君に犯人を聞いて、という話。
猫殺しの犯人を追いかけるうちにさらに巻きこまれる事件。そして彼が神様に問う事件の犯人、願う天誅。主人公の男の子がなにか悪いことをしたかといえばそんなことはなく、ただただ神様に出会ってしまったということが彼の不幸だったのだと思うしかないような怒涛の展開。転がり出した石は止まらず、願いを留めることはできなくて、ただ暴力的に唐突に突きつけられるのは幼い彼が知るべきではなかったような、ただの真実。何もかもは歪んでいて、そしてその見せ方が意地が悪いというか趣味が悪いというかまさに最低な感じで、もうただたださすがの一言でした。
自称神様な鈴木君という存在がどういうものなのかと考えるかで解釈の分かれそうな作品でもありますが、個人的にはこの作品の時空の中では神様は神様であり何よりも上位で、絶対的に正当なのだと思います。そしてそう考えた時に残る、最悪よりも最悪な、なんとも言えない後味の悪さとやってくれた感とトラウマ感。それがこの作品の真骨頂であるのかなと、そんな風に思うのでした。