クロクロクロック1/6 / 入間人間

6丁の拳銃と6人の登場人物が織りなす群像劇。入間人間は本当に群像劇が好きなんだなあ、という感じの新シリーズの開幕になっていました。
6丁の拳銃を売った男が1丁間違えて売ってしまったモデルガン。その依頼を受けた探偵。拳銃を買った殺し屋は改行と同時に依頼を受け、同じく拳銃を買った高校生は自分が特別になるために。さらに壊れた女子小学生は嫌いな相手を殺すために拳銃を購入し、ダメ人間の大学6年生は落ちていた拳銃を拾って、陶芸家の女性に弟子入りした男は何かわけありな気配を漂わせて。
パラレルで展開する6つの物語は、この巻ではリンクしているようなリンクしていないような、まだばらばらな状態。その物語が偶然のように交錯するある事件は、けれど直接的に彼ら彼女らを結ぶことはなくて、でもこの先の展開が気になるシリーズの幕開けを感じさせるもの。散りばめられた要素が噛み合わないままに視点が飛びまくって、しかも他の入間作品へのクロスオーバーが非常に多いため、読んでいて情報が錯綜する、ちょっと読みづらさのある一冊ではありましたが、6冊構成の一冊目ということなので、まだまだここから面白くなりそうな感じです。
キャラクター的には典型的駄目人間なカナと世話焼き友人のギャッピーの話が、だるだるした空気があって好きです。あとは閃かない探偵花咲太郎がここにも現れて、相変わらずのひょうひょうとしたロリコンっぷりを見せつけていたり、美鈴の完全に壊れた思考に入間作品らしさを感じたり。口下手な陶芸家の円子と正体不明な弟子の奇妙な関係もなかなか。
この先何が起きるか、思わせぶりな要素がありすぎて逆に展開が読めないですし、正直この作者であれば時間軸が合っていない叙述トリックだって仕掛けてくるかもしれないとは思うわけで、とにもかくにもこの新シリーズに身を任せてみようと思うプロローグの一冊でした。