にがくてあまい 5 / 小林ユミヲ

にがくてあまい 5 (BLADE COMICS EDEN)

にがくてあまい 5 (BLADE COMICS EDEN)

やっぱり私はこのマンガ好きだなと思った一冊でした。この作品は、一人で頑張ろうとして何か抱え込んでしまった人が、支え支えられ、助け助けられながら、その重しみたいなものがゆるゆると溶けていくような話の積み重ねになっていて、この巻では渚にとっての母親の話がまさにそういう感じ。家族というものを分からなかった人が、まるで家族のように当たり前に側にいる存在ができたことで、少しずつその関係を分かっていって、それと同時に冷え切っていた母親との関係を取り戻す、みたいな。そして、マキにとっての渚ではなくて、渚にとってのマキの存在の大きさが描かれたことで、シリーズとしてもターニングポイントになるのかな、とも思います。渚がゲイであることは変わらずとも、当たり前に一緒にいて、知らず知らずにお互いを支えあっている距離感の二人が、これからどうなっていくのか楽しみにしていたいと思います。