魔法少女育成計画 episodes / 遠藤浅蜊

魔法少女育成計画魔法少女育成計画restartに登場した33人の魔法少女たちのエピソードが15の短編で描かれた短篇集。本編だとさすがにキャラクターの多さから薄くなりがちだった彼女たちの性格や背景が垣間見える一冊になっていました。
魔法少女としての活動の話から日常の話まで幅広いエピソードが集めらて、33人全員が登場しているというだけでなかなか大変な一冊だと思うのですが、そのキャラクター一人一人がかなりしっかりと考えられているのだなと感じます。これだけの人数がいて一人ずつ全く違う色を持っていて、別の切り口から描かれているというのは素直にすごいなあと。本編は話が話だけに使い捨てられるような退場の仕方をしたキャラも多かったのですが、ここできっちりフォローしてくれたのは嬉しいところ。
そんな中でも意外(?)な正体とあの性格の理由が分かったチェルナー・マウスのエピソードの微笑ましさ、意外な組み合わせと少しの切なさが残るワンダードリーム、ネカマな男の子が魔法少女でオフ会に参加するオフの日の騎士が良かったです。そして師匠の視点から「2代目」の話が語られる青い魔法少女の記憶がなんというかもう切ない。
そしてこのエピソードでキャラクターに好感を覚えたり愛着を感じた所で、結局この子たちがどういう理不尽な最期を遂げたのかは良く知っているわけで、そのことになんとも言えないもやもや感が胸に残るような短篇集でもありました。とはいえ、本編二冊を気に入っている人は読んで損はない一冊だと思います。