絶園のテンペスト 9 / 城平京・左有秀・彩崎廉

絶園のテンペスト(9) (ガンガンコミックス)

絶園のテンペスト(9) (ガンガンコミックス)

8巻で見えた真実と、何者かの描いたシナリオの上で踊らされる物語を良しとしなかった羽村と。ならば、先を手にするために闘うのが彼らに残された最後の仕事な訳で。
という訳で、対御柱最終決戦にして本編完結編。決戦自体にも色々とトリックは仕込まれているのですが、なによりも多大なる犠牲を払いながらでも、未来を、先を見ている物語だったというのが凄く良かったです。愛花のこと、一族のこと、冗談のような二つの樹のこと、色々なものが色々な意志が収束していきながら、その先にあるのは新しい始まり。道は切り開くもの、物語は終わり、また始めるもの。全ての辻褄を合わせて綺麗に終わりを迎えることが美徳ではない。そんなシンプルなことが、この面倒くさくもこんがらがった物語の果てで描かれるというのが、まるで深い霧が晴れたようで、なんだかとても素敵なことに思えるのです。
良いシリーズだったなあと思いつつ、おまけ的番外編な最終巻も楽しみにしています。