- 作者: 日日日,左
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2013/06/18
- メディア: 文庫
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はじめに、世界が滅ばずにすんで、けれど神様はもうこの世界に居ないことは明示されていて、どうしてそうなったのかを、そこには関わらせてもらえなかったささみさんの視点から後追いで描くという相変わらずに捻くれた視点で描かれているのでなんとも言いがたい読感があります。
邪神三姉妹の、そして神々たちの決意と決断。月読日留女を封じて、自らも表舞台から消え去るような滅びに向かう闘いは熱いはずなのですが、それにまったく手出しできなかったささみさん視点で伝聞として描かれれば、もどかしさと虚しさとやるせなさと納得のいかなさが浮き立つようで。全てを賭しての最終決戦もラスボスである日留女の存在感もしっかりとあるのですが、盛り上がるというかどこか空々しさを感じるような一冊でした。
そして、だからこそ、このラストがある。犠牲は多いものの最善手の成功として、一つのハッピーエンドとして描かれたこのエンディングを否定するために、がんばれなかったささみさんががんばる。そういうやり直しの物語がある。ならば、ささみさんがその手で掴み取るトゥルーエンドを、読者としては正座して待っているしか無いじゃないかと。がんばれ、ささみさん。