艦隊これくしょん-艦これ- いつか静かな海で 1 / 田中謙介・さいとー栄

艦これの生みの親である田中謙介が原作ということで、数多く出ている公式作品の中でも一番最初に想定された形に近いだろう艦これコミカライズ。
艦の美少女化である艦娘の設定はそれだけでいくとかなり飛んだもので、だからこそいろいろな解釈のもとに公式から二次創作まで色々と作られてきているのだと思うのですが、この作品を読んでなんだか凄くその存在が生み出された理由が腑に落ちたなあという感じがします。
過去にあった戦争とそこで戦い護れなかったもの。そして艦娘としてもう一度護るために深海凄艦と戦う日常。その世界は激しく戦いながらもどこか静かで、艦娘同士の柔らかい日常があって、どこか叶えられなかった世界の向こう側というか、彼岸的な空気を感じます。そして、その艦娘たちの世界を通じて帰ってくるのは、今の自衛隊の同じ名前を持つ艦たちの姿。
艦これという世界が生み出されたのは、記憶を無くさないため、想いを柔らかく繋いでいくためのものなのなと、そんな風に思った一冊でした。これはすごく好き。