安達としまむら 3 / 入間人間

日常百合モノは4コマ漫画の専売特許じゃないんだよ! という訳で相変わらず外で読むとニヤニヤした変な人になること請け合いな安達としまむらの3巻。
前巻でクリスマスが来たのだから、次はこれしか無いっしょとばかりにやってくるバレンタインを描くだけの一冊ですが、安達さんの症状がさらに悪化しているのでもうダメだこの子感の高まりが大変なことに。しまむらさんにべったりというか、自分でちょっとおかしいんじゃないかと思いながらも大好きすぎる依存っぷりがメーターを振りきりそうな勢い。人の優しさを知らなかった子が誰かに転んだら大変なことになった見本みたいになっています。
そしてしまむらさんの方はそんな安達さんをわかっていながら距離感を図っていたこれまでと比べて、とりわけ考えないようにしてきている感じに変化を感じます。ぎくしゃくしてしまった小学校の頃の親友との再会があって、それがそのまま今の安達さんとの関係の比較に繋がって、結果これはこれでありみたいな位置に落ち着いたせいで、友達以上恋人未満の上限いっぱいな感じで次の巻出るならどうすんの、桜Trickしちゃうのこれみたいな。
そしてそんなある意味大したことは起きない日常と、人間関係を書かせたら入間人間という人は本当に上手いなあと思う一冊でもありました。どうってことない、けれど当人たちには重大な日々。その中にあるちょっとした感情、感覚、彼女らを取り巻く世界の空気、手触りみたいなもの。とりわけ、しまむらが出会った小学校時代との親友との何だかうまくいかない距離感だとか申し訳なさだとか、二人の間に流れる空気とそんな世界の色は、すごく皮膚感覚として分かるものでした。