がっこうぐらし! 7 / 海法紀光(ニトロプラス)・千葉サドル

大学編開始。ということで、先輩が登場したりサークルに所属したりと相変わらず文字にすれば普通の学生生活を送り始めるわけですが、相変わらずの状況は続いているわけで。
とはいっても小休止のようにどこか弛緩した雰囲気のただよう一冊。そうやっていなければギリギリの心理状態を保てなかった彼女たちの「学園生活部」が、それを強いていた高校の校舎という場所を離れて、なお設定だけが走り続けているような。それは彼女たちを受け入れた「サークル」の先輩たちが、パニックの後、いっそ開き直ったのか電気も温水も食料も確保されて自堕落に過ごしていて、追い詰められた空気というか、狂気というか、そういうものが感じられないからだとは思うのです。ただ、果たして大学生だからってそんなにメンタル強いのか? という疑問も拭えず、逆にピリピリとした状態のまま生きている「武闘派」の存在もあって。
何よりも一時的に安息の場所を得て、自分たち以外の生存者と合流することができたとはいえ、本質的に問題は何も解決したわけではなく。どこか感覚が麻痺してしまったかのような平穏の中にそれでも見え隠れし続ける狂気と迫り来る絶望が、このまま一筋縄でなんて行かないことを示唆しているように感じられてならない一冊でした。