GODZILLA 怪獣黙示録 / 虚淵玄・大樹連司

 

 アニメゴジラの前日譚は、何故地球から人類は追われ、そして地球は怪獣惑星となったのか、その時代をドキュメンタリー形式で描いた一冊。

様々な人々へのインタビューを通じて、初めて人類が怪獣に相対したアメリカから、世界中に出現し続ける怪獣たち、発生する大量の難民と引金が引かれる人類同士の戦争、そして怪獣を遥かに凌駕したゴジラの出現、追い詰められた人類の前に現れた二種族の宇宙人とのコンタクトまでが描かれていきます。

いきなり怪獣出現とゴジラの進行が描かれた世界地図と年表から始まって、後はインタビューによってそれぞれの時代の空気や立場に基づいた言葉が並べられていくのですが、まあこれが大真面目な大法螺話といった趣で大変素晴らしいです。東宝怪獣総進撃という感じで、子供の頃怪獣図鑑をよく読んでいて割と詳しいと思っていた私的に懐かしかったり、流石に知らないというようなところまでネタが広いのですが、それ故にあまりにも大真面目な語りの中に、こう、突然にマンダとかカマキラスとかフレーズが出てくるのが楽しい。終盤になると異星人からもたらされた技術もあってか、メーサー砲とかスーパーXとか普通に出てくるのがなんというかもうあれです。モゲラも出てくるよ!

そんな感じでテンションを上げながら読んだのですが、一つ一つのエピソードにはばらつきがありつつもグッと来るような話も多く、この時代を如何に人類が生きてきたのかが分かるのがとても良かったです。アニメゴジラはこの怪獣惑星となった地球を人類が取り戻そうとする話のようですが、そこに至るまでの過程として読んでおいてよかったと思いますし、正直あまり期待していなかったアニゴジへの期待値が非常に高まる一冊でした。楽しかった!