虚構推理 9 / 城平京・片瀬茶柴

 

虚構推理(9) (月刊少年マガジンコミックス)

虚構推理(9) (月刊少年マガジンコミックス)

 

 「岩永琴子は高校生だった」と「ギロチン三四郎」の二編を収録。

鋼人七瀬以降のシリーズは、岩永琴子という探偵の存在というか、立ち位置の特殊性が軸になっているように思うのですが、「ギロチン三四郎」は分かりやすくそれを描いた話という感じでした。

岩永琴子は人間の法律や倫理で裁かれるべき事件を解決する探偵ではないし、情報の入手ルートも怪異から直接聞いているという探偵としてみればチートであって、目的も怪異たちのお悩み解決。そんな存在に、過去に罪を犯した人間が、その共犯者が今になって関係する事件が起きた時に、出会ってしまったら。

ギロチンの付喪神三四郎から情報を得てその悩みの解決に動く琴子と、かつての罪が明らかになることを恐れる女性では、そもそもからして何も噛み合っておらず、それがはじめに九郎が首を突っ込んだことで変に拗れるという展開が面白かったです。こういう妙な話運びをしっかり理屈で着地させてくるのは、城平作品の真骨頂であるなと思いました。この巻も大変面白かったです。

そして、12月についに小説2冊目が出るということで死ぬほど楽しみだ……!