【マンガ感想】虚構推理 12 / 城平京・片瀬茶柴

 

虚構推理(12) (講談社コミックス月刊マガジン)

虚構推理(12) (講談社コミックス月刊マガジン)

  • 作者:片瀬 茶柴
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: コミック
 

 (私の)念願だったアニメの放送され、動きしゃべるおひいさまを拝む日々が3ヶ月続いた虚構推理ですが、原作の方も新しい事件に入って面白いです。

相変わらず妖の介在する真実を合理的な虚構で制する岩永琴子の高校時代が見られる過去エピソードから、同じくダイイングメッセージを扱った雪女の事件へ。

この雪女がまた可愛いのです。かつて雪山で突き落とされた男を助け、その男が色々あった末に山の近くに住むようになれば、そこに居着いて飲んでは食べて。雪女というと冷たくすました感じを想像するところですが、美しい上に茶目っ気と愛嬌があって、そして情にも厚い。妖怪らしからぬ人に近い常識も持っている。男の方も、そりゃあ命の恩人でもある雪女に惚れないわけがないよねっていう。

そんな男が殺人の容疑者となり、アリバイを証明できるのは雪女だけ。けれど警察の前には出ていくわけにいかず、どうしようというところで雪女が頼ったおひいさまの登場なのですが、いやだって、前作「スリーピング・マーダー」ですよ?

人と妖の調停者である岩永琴子は、秩序をもたらすものであって感情に忖度はしないということを突きつけたあの「スリーピング・マーダー」の次に、明らかに感情移入させる気ばりばりの好感度高い人間と妖怪のカップルをですね、こんな魅力的なキャラクターで描いてですね、さあ次巻へ続くじゃねーって話ですよ。というか次回予告でもう辛いって話ですよ。

雪女が直接介入することは是とされない以上、雪女が目撃されていることを前提に雪女がいなくても成立する解を作るしかなく、でもそれっておひいさま的にはありなのかなあとも思ったり。これが救われる方と悲恋になる方のどちらに転んだとしても、もはや作者の掌の上で完全に踊らされています。読みたいような、読みたくないような次巻、でもやっぱり早く読みたいなと思うのでした。雪女可愛いしね!