【ゲーム感想】ゼノブレイド3

大変面白かったのですが言いたいことがあるというか、具体的にはサブクエストやヒーロークエストが滅茶苦茶面白くて、それ故にメインストーリーのラストにどうしても納得がいかなくなるという、なんとも難しい気持ちになるゲーム。でも出来は間違いなくシリーズで一番です。クリア後のクエストまで全部潰して122時間、存分に楽しませていただきました。

 

何を書いてもネタバレを避けようがなかったので、以下ネタバレありで。

 

 

 

 

 

 

 

1の世界と2の世界が一つになったようなアイオニオンという世界で、人々は10歳程度の身体で生まれてきて、10年間の限られた命を戦争に明け暮れるという設定。1の世界の人々が属するケヴェスと2の世界の人々が属するアグヌスという国に別れての戦いは、命の灯時計と呼ばれる装置に相手の命を捧げないと生き続けられないという制約を課されて終わることなく長い長い間続いており、たとえ10年の時を生き抜いたとしても女王の前で天に帰る成人の議を迎えるだけという、どう考えても酷い世界が舞台です。

そんな戦場で出会ったケヴェスの兵士ノア、ユーニ、ランツとアグヌスの兵士ミオ、セナ、タイオンはある出会いからウロボロスと呼ばれる存在になることで闘い続ける運命から外れ、アイオニオンという世界を支配するメビウスたちからの解放を目指して旅をするというのが大まかなストーリーライン。

この世界は何がどうして生まれたのか、メビウスとはいったい何者なのか、メリアやニアにしか見えない女王は何なのかといったたくさんの謎を抱えたまま進むストーリーですが、まずはパーティーメンバーの6人がいい奴らなのが冒険をしていて良いところ。大学のサークルみたいなノリで旅をしている感じが楽しいです。イベントシーンもですが、休憩ポイントで入る日常描写がいい味を出しています。

全体的な雰囲気としてはベタベタにアニメノリをしていた2から、ぐっと落ち着いた雰囲気になっていてその点間口は広がった感じ。ただ、世界設定の特殊さと、大きなテーマになってくる「命」が、10年を闘うこと=生きることのケヴェスやアグヌスにおいては普通の感覚とはズレているところもあって、のみ込みづらいところはあると思います。特にシティーで「普通」の人生を送る人々が出てきてからは、この感覚のすれ違いが味になっているところもあったりしますし、この前提をどれだけ受け入れられるかで、ストーリーに入り込めるのかが決まってくる感じはあるので、取っつきづらさはあるゲームと感じました。

 

このゲーム最大の魅力は、アイオニオンに点在するコロニーに配置された大量のクエストと、そこの軍務長が仲間になるヒーロークエストだと思います。メインストーリー上は必須ではないものですが、これがまたものすごい大量に用意されていてしかもどれも魅力的です。最初はこんなに数があってキャラクターも多くて覚えられないよと思っていたのが、気が付くとみんなに愛着が湧いているので凄いと思います。

アイオニオンの人々は10年を闘い続けることだけのために生まれてくる。なので、最初はそういった価値観だけをもって戦って死んでいく存在だと思っていたのです。序盤のノアたちの周りの描写もそういうイメージですし。だから、コロニーを命の灯時計から解放して、逆にそんなことをしたらこの人たちはどうやって生きていくんだろうとさえ思っていたのですが、色々なコロニーを解放してくると違うんだということが分かってきます。どのコロニーだって同じものは無く、同じ価値観の同じ人がいるのではなく、たった10年の人生をそれぞれに考え、色々なことに挑戦しながら前に進もうと生きている。ヒーロークエストを通じてコロニーや軍務長たちの人となりを知り、数々のクエストやヒーロー覚醒クエストを通じて、彼ら彼女らが抱えた問題にどう対処したり、他のコロニーとの連携を取るようになったり、何を抱え何を目指して変わっていくのかを見届ける。それは、アイオニオンというモノクロのイメージの世界が色づいていくような、ここにも確かに生きている人たちがいて、営みがあるのだということが実感として刷り込まれていくような感覚でした。気が付けばもう滅茶苦茶に愛着が湧くわけですよ。

そしてまあそれだけに、メインストーリーのエンディングにちょっと言いたいことがあるというか、アイオニオンは確かに成り立ちの良くない、2つの世界の消滅前の瞬間を永遠にして生まれた、メビウスの支配から逃れられない世界ではあるけど、本当にそれしかなかった??? みたいな気持ちがですね。未来へ進むために必要なことは分かるけど、この世界を搾取で成り立つ停滞でしかないと断じて信じて踏み出す必要性も分かるんだけど、他にやりようなかった? って思うのです。だって、こんな酷い世界の中でも、みんな確かに生きているってことをあの大量のクエストの中で体感してしまったんですよ。世界を消して元に戻しますかっていう問いに、たとえイエスというのが正しかったからといって納得できるのかというね。

このやり口自体はイーラでもやられたなあと思いつつ、あれはそういう悲劇だった訳で良くはないけど良いのですが、今回は未来への正しい選択として、愛着の湧き切った世界を消すことを求められるのがどうしても飲み込めないなあという素直な感想があります。ゼオンが苦労して育てて布教を始めたイモは? 幾度かの学級会を経てようやく立ち上がり始めたコロニーミューは、育ててたアルマたちは? ルディはドルークまた作るんじゃなかったの? エセルを失ってもようやく一つにまとまって進み始めたコロニー4は? ナギリ達に名前を付けてあげて刑務所改装してコロニー0はこれからっていう時じゃんだとか。

いやまだコロニーは、兵士が補充されなくなればどのみち10年で滅んでいたし、オリジンによる再生で元居た場所で再び生きていくのだと思えなくも、なくもない。死生観という面では、死亡して再生された後の同じ人物に記憶の連続性が無くても同一性を見ている気があったので、そういうものなのだと思えなくもない。……けどシティーはダメでしょう。オリジンからの再生ではなく、アイオニオンで生まれた命である以上、世界の消滅と再生を経ても元の世界では消えてしまう訳で、大恩あるシティーがそうなることを是とすることはできないでしょ。シティーの人たちはそうなるためにメビウスと闘ってたっていうのかと。だってじゃあ来年の料理コンテストはどうするんだよ、ジャンセンのモニカへの告白は、ロメロとジュリエッタは、子供たちはどうなるんだよ、この戦いが終わった先のことを話していた人たちはどうなっちゃうんだよ、だったら保守派の言う通りだったんじゃないのか等々、こう大分いろいろ言いたいことたくさんありましてね……。

いやそもそも、あれだけ大団円で終わった1と2の世界がぶつかって対消滅しますって言いだした時に誰か止めなかったのかと言いたくもあり。いやまあメインストーリー面白かった、面白かったんですが。捕らえられてからミオの成人の議のところの6話らへんの流れ、エヌとエムの辺りの話は素晴らしかったですし、終盤へ向けての盛り上がりもちゃんとあるし。だけどなあ、でもなあという、何とも言えない気持ちの残るお話でした。追加ストーリーでみんな救われるトゥルーエンドくれないかな、2の豪快なハッピーエンドを実現したシリーズなんだからそのくらいやってくれないかなと、期待だけしていようと思います。

あとメリアとニアは前作プレイしている人にはうれしいお楽しみ要素でした。メリアちゃんは流石の威厳を見せていて、ニアは柄にもなく無理しているところとボロが出るところが可愛かった。最終決戦の二人の頑張りと、エンディングでニアに駆け寄ってきたハナは前作やっていった人だけの感動ポイントだったかなと思います。ニアに関しては、見た目があんまり変わっていないので(マンイーターで長寿なので)、子供いるの??? っていう驚きが例の写真でありましたが。

 

 

ゲームシステム的には2、DEをベースにチューンした感じで、過去一遊びやすいですし、本当にストレスなく遊べるのでやり始めるとついつい止まらなくなります。シリーズの特徴であるマップも過去最大に広くて探索しがいがありますし、マップが踏破で埋めていく方式なのもやる気が出るポイント。クエストも一個ずつの内容や長さがちょうどよくて、何しろ本編上は寄らなくても良いコロニーがたくさんあって、それぞれに膨大なクエストが用意されてそれぞれの物語があるのが良かったところです。

バトルシステムはいい加減にやっていてもなんとかなるけど、クラスとアーツの組み合わせが無数にあって戦略を考えて詰めればいくらでもやり込める作りで良き。クエストをやり過ぎて適正レベルをずっとぶっちぎっていたのでバランスは何とも言えないのですが、ただ殴っているだけでも闘っている感じと達成感があるので飽きが来ないものになっていたと思います。

今回は笛の音をフューチャーした音楽も相変わらず良いですが、「命を背負って」はもっといろいろな場面で聞きたかったのと、ボス戦BGMの記憶が大体全部チェインアタックに塗り替えられるのだけちょっと不満ではありました。

 

 

そんな感じでいろいろ言いたいことはあるのだけれど、とにかく120時間以上最高に楽しめたというアンビバレンツな感想の残ったゲーム。あとは追加コンテンツのストーリー待ちですが、「繋がる未来」も「黄金の国イーラ」も素晴らしい出来だっただけに、期待をしていたいと思います。

【映画感想】すずめの戸締り

新海誠の集大成にして最高傑作と大見得が切られていますが、その宣伝文句通りの映画でした。傑作と思います。

「君の名は」「天気の子」でも描かれていた災害というテーマを今回は3.11を直接大向こうに回して描きながら、家出娘と動く椅子のロードムービーで、人知れず異界からの災いを封じる伝奇もので、親代わりの叔母と姪の関係を描いたもので、突然の出会いから始まるガールミーツボーイでもある作品。それだけのものが詰め込まれながら一切淀みなく流れていくストーリーに、新海作品らしい美しい風景描写、適度にジブリ風味を加えてくるあざとさまで完璧にコントロールされていて、完成度の高い映画になっています。それでいて、全2作を踏まえないとこれは作れなかっただろうと感じさせるので、ああいうキャッチコピーを掲げたくもなるだろうと。

新海作品ってどうしてもこういうものを描きたかったみたいな癖と業を感じるところがあって、個人的には「天気の子」がそこがピンポイントに刺さって大好きなのですが、今回はそういったものが綺麗に昇華されて一つの映画になっているので、もっと間口が広く受け入れられそうに思います。「天気の子」が興収100億と言われるとどうした? って思いますが、「すずめの戸締り」はそのくらい行くよねと思える出来なので、震災がテーマということで難しいという人以外は見て欲しいなと感じる映画でした。

 

 

 

あとはネタバレありで。

 

 

パンフレットや配布冊子を読んでなるほどと思ったのが、ポストアポカリスものとして作りたいという言葉。「君の名は」は起きてしまった災害を無かったことにする話で、「天気の子」は災害を前に大切な人とどちらを選ぶのかという話。でも「すずめの戸締り」は決定的なこと(=3.11)は既に起きてしまっているという話です。すずめの母親に象徴される喪ってしまったもの、直接的な震災の爪痕を描いたシーン以外でも、ミミズがかつて人の集まった廃墟から溢れ出してくることもあり、滅びゆく世界の中で生きていく物語という印象は強く残ります。

「天気の子」での選択の後、世界なんて最初から狂っていたというセリフが好きなのですが、まさしく「すずめの戸締り」は狂った世界に生きる私たちの物語なのだと思います。過去に決定的な喪失を抱えて、これからも少しずつ失いながら、それでも続いていくこの先の時をどう生きるのか。主役二人の見出す答えは、夢や希望や関係性ですらなくて、ひと時だけでも長く生きたいという想いと、あなたはちゃんと大きくなるという未来の自分からの言葉。ただそれだけのものでも、常世で幼いすずめが出会ったあのシーンの回答として、失くしてしまった母親ではなくすずめ自身の言葉が彼女を生かしたということが、凄く良かったと思います。特別でも何でもないその小さな肯定をよすがにして生きていくことが、今の時代の私たちの作品であろうと、そんな風に思うのです。

ちなみに、「天気の子」はゼロ年代が急に蘇ってきたみたいな衝撃があって、「すずめの戸締り」はそこまで直接的なことは感じなかったのですが、改めて振り返ってみると、壊れた世界の中で自分の手で握れるものだけを握りしめて今を生きていく感じ、私が当時感じていたゼロ年代と呼ばれるものそのものな気もします。だからこれは時代が追い付いたというべきか、ここまで後退してしまったというべきか、そんなようなもののように感じられたりもしました。

 

キャラクター的には椅子になった草太の面白さとか、ダイジンの可愛いけどそれだけじゃないところとか、すずめが序盤の道すがらであっていく人たちの暮らしを感じさせる描写も大変良かったですが、何より芹澤朋也が凄かった。草太の大学の友人で、見た目はホストで丸眼鏡で口は悪く無神経だが実は友達想いで教師を目指していて中古おんぼろのアルファロメオのオープンカー(足立ナンバー)で懐メロかけながら面倒な叔母姪にも付き合って東北目指してくれる面倒見の良さもあるC.V.神木隆之介ですよ。いや盛り過ぎにもほどがあるし、こんなの好きにならざるを得ないでしょ。かといって浮きまくってる訳でもなく、映画後半のアクセントとしてちゃんと馴染んでいるのも凄い。割とこう監督の癖は昇華されている映画だと思うのですが、キャストは神木くん指名で口説き落としたエピソードも含め、ここだけ原液かというものが出てきて凄かったです。それと椅子になった草太にすずめが腰掛けるシーン。

 

あと、作中で流れた懐メロ、一枚にまとめてCDにしてほしい気持ちが強くあります。サントラもいいけれど、絶対聞きたくなるでしょ!

【小説感想】プロトコル・オブ・ヒューマニティ / 長谷敏司

バイク事故で右足を喪ったダンサーとそれ自体が行動を予測して補助するAI義足の共生を通じて、身体性と人間性の根源に切り込む物語。なのですが、それだけでは終わらない凄みのある一冊でした。

人間性というものを描くときに、AIに心はあるのかという部分にフォーカスしていたのが「BEATLESS」だったと思うのですが、今作はそこに意思があるのか、そこに精神性があるのかというアプローチではなく、徹底して身体を通じた対話を取り扱っている作品だと感じます。個の掘り下げではなく常に他者を前提としたダイアログを観察して、その対話のプロトコル人間性を探る試み。身体の動きが発するメッセージという原初に立ち返ったうえで、そこにAIやロボットを他者として並べることで、人間とは何かを見つめるような、そんなお話でした。

ままならないAI義足との共生、AIによる振付とロボットとの共演で舞台を見せるダンスカンパニーへの参加。その方向性での掘り下げは最終的に動きによる対話を「距離」と「速度」まで還元して捉え、その地平でロボットとのプロトコルを設けることを模索するところに至ります。概念的で抽象的で、人間性を理論として解体することで極点に迫るようなアプローチ。けれどこの物語ではもう反対側の極に振ったような出来事が、その歩みを妨害するかのように差し挟まれます。

有名なコンテンポラリーダンサーだった父親の認知症と介護生活の始まり。日常生活もままならない、狭い実家の中で繰り返される不条理。親子という一番狭くて近い関係で、崩れていくプロトコルを目の前にして、ただ広がるのはどこまでも生々しい現実。そこには理屈で片付くことは無くて、肉体や匂いをキーにした、煮詰まっていくかのような関係性が描かれます。

読んでいると主人公と同じようにあまりに突然にすべてを介護に持っていかれたように感じて、その圧倒的なリアルにどう読めばいいのかと面食らってしまうのですが、ただこれもまた対話というものを捕らえたもう一つの極点なのだなと、読み進めるうちに思うようになりました。AIと相対する純粋な理論としてのプロトコルと、認知症の父親と相対して壊れていくプロトコル。どちらかだけではなく、その両極を混然一体としながら、そこに何があるのか、人間性とは何かを見つめ続けるからこそ、踏み込めている領域があるのではないかと感じます。

そしてその両方のアプローチのクライマックスが、ダンスカンパニーの公演と実家での父親とのダンスになるのですが、これがどちらも良かったです。特に、ダンスカンパニーのロボットと義足ダンサーの競演の舞台は、文章で読んでいるのに目の前に全く新しい表現が立ち上がってくるかのような臨場感と緊張感があって凄かった。カンパニーのメンバーたちの組み立ててきた理論や、重ねてきたトライアンドエラーの舞台上での結実も、AI義足と共生してきた主人公だからこそ踊れたロボットとのダンスも、鳥肌もののステージでした。

何かを悟ったり、明確な答えがある訳ではなくて、ただじっと身体による対話のプロトコルを見つめ続けるような一冊。読み終えてから誰かと対峙した時、そこにどういう手続きがあって、どんな情報が交わされているのかがふと気になってくるような物語でした。

【ゲーム感想】ゼノブレイド2

ゼノブレイドDE(1)をやって万人に勧められる面白いRPGだ! って思ったのが前回の出来事なのですが、ゼノブレイド2はですね、好き嫌いははっきり分かれるけど好きな人には死ぬほど刺さるやつですねこれ。ゼノシリーズってそういうものだよねという安心感すらある。いやでも面白いです。色々言いたいことはあるけれど、印象に残ったシーンは間違いなく多いですし、DLCの黄金の国イーラをやることで2度美味しい構造になってるのが凄い。

 

DEが全体的に上品な仕上がりだったのと比較すると、とにかくもう熱量で押し切って突破するタイプのRPGだと思います。カレーにカツと唐揚げとハンバーグを載せて、付け合わせに豚骨ラーメンが付いてきたくらいのハイカロリーなメインストーリー。話筋はがっつり王道の少年冒険譚でボーイミーツガールなのですが、とにかくもう全部盛りで男の子の夢と希望とロマンを詰め込みましたと言う趣があります。

ただ、敢えてそうしているのかなと思うのは、今の時代にこの言ってしまえば古臭さのある王道を叩きつけるにあたっては、押し通すだけの馬力が必要だったのかなと。結果としていろいろ突っ込みたいところも多々あるし、ご都合主義的では思うこともあったのですが、そんなことは全部すっ飛ばしてレックスとホムラたちの物語に引っ張り込まれて、最終話はもうボロ泣きするくらいに引き込まれる力がありました。

少年冒険譚だと言いましたが、この作品はレックスが子供であることが凄く重要なんだろうなと思います。彼は未熟で世界を知らなくて、でも目の前のことに真っすぐで人を思いやれて何より未来を信じられる、そういう純粋さを持っているキャラクター。そして彼の前に立ち塞がるのは、立ち位置は違えど、世界や人間、そして自分自身に絶望してしまった大人たちでした。過去に消えない傷を負い、諦めてしまった人たち。その閉塞を突き崩せるのは、レックスが何も知らない子供で、真っすぐに明日を見据えられるからこそ。そんな彼だから、繋げた絆があって、たどり着いた楽園がある。

というか、諦めなくていい、絶望しなくていい、そうやって掴み取れる未来があるんだというのが、ゼノブレイド2という作品の大きなテーマなのだと思いました。だからこそ、敢えてこの時代に旧い物語を蘇らせる必要があって、そのためにはここまですべてを詰め込む必要があったんだろうと、そんなふうに思います。まあ、多分に趣味性を感じるところはありますが。

 

ゲームとしてはDEと基本は同じく、ストーリーを追いかける他に、広いマップを探索し、数多いクエストをクリアするところに特色があります。更に特徴的なのはブレイドのシステム。これはストーリーの根幹にも関わってくるところで、コアクリスタルから同調し、その人と共に生きることになる彼らの存在がゼノブレイド2の鍵になります。

システム的にはブレイドをガチャの要領で引いてそれを育ててというやり込み要素があり、さらに様々なスキルで冒険の幅を広げたり、バトルの奥深さにもなっているのですが、これがまた大分深そうで、その分取っつき辛さのあるもの。私はもう途中からほぼ育成をせずに突っ切ってしまったのですが、ハマればハマるほど沼だなと思いました。あとゼノサーガ好きとしてはなんとかKOS-MOSが引きたかったのですが、排出率低すぎて無理でした。悲しみ。

ブレイド育成以外のシステムも、沼は深いが取っつき辛いのが共通しているように感じて、クエストもDEに比べると手間がかかるけどストーリーに厚みがあるものが多かったり、マップも高低差の概念やフィールドスキルが無いと出来ないことが多々あってやり込み特化ゲームという印象があります。もちろん全く触れなくてもクリアはできる(ほぼそうした)のですが、もう少し片手間に触って楽しめるような作りだとよかったのにとも思います。クエスト進めようとしたら、レベルの足りないフィールドスキル求められて進まなくなるとか、何度か繰り返してクエストはひとまずもういい! ってなってしまったので……。

それとマップなんですが、高低差の概念が入って、ルートガイドがなくなったことでまあよく迷うこと迷うこと。目的地の方向と高低が分かるコンパスは出るものの、上下移動ができる地点が全然別の方角にあることも多々ありあまり役に立たず、マップも高低差がなかなか読み解けないので非常に難儀しました(これもクエストを投げた理由でもあり)。あと、マップが走破したところを塗りつぶしていくタイプではなく、最初から全部出ているので、逆にどこに行ってないのか分からなくなるのも辛いところ。

そしてこれがダンジョンと組み合わさると、もうどこに行けばいいのか分からないしモンスターに襲われまくって走って逃げてるうちに更に迷ってユニークモンスターに襲われ殺されるみたいな事故が多発。そうだよエルピス霊祠とモルスの断崖、お前らのことだ。あとあと、レベルの低い敵と戦ってるうちに、高レベルモンスターが俺も混ぜろよとばかりに入ってきて全滅するのも、言いようのない理不尽を感じたり。

そんなこんなプレイヤーに優しくないところも多く感じたのですが、じゃあクリアできないのかというとそんなこともなく、色々考えてトライアンドエラーすれば育成なんてほぼやらずにストーリー最優先で進めてもきちんと突破はできるのでゲームとしては大変に正しいものだとも思います。DEがあまりにノンストレスの作りだったので、甘やかされたツケをここで払っているという気も。

その辺は戦闘も同じで、ドライバーコンボとブレイドコンボを同時に意識するのも目押しでキャンセル入れるのも敵の動きを把握するのも全部同時になんてできないわってなるのですが、理屈が分かってくるとちゃんと高ダメージを与えてクリアできるという楽しみがあるものでした。ボス戦もまあ何度も死にましたが、その度にああしたらこうしたらと試していくと、ふと倒せてしまうポイントがあったりして、ゲームとしては悔しいけどよくできてるなと思います。何度もお前ふっざけんなよ!! って思ってはいるのですが。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

本編プレイ時にはレックスの視点でずっと追いかけていて、これは先に書いた通り、ド王道の少年冒険譚。何度も何度も危機が訪れ、その度に覚醒演出(BGMのcouter attackがまた良い)での反撃、特にプネウマの覚醒シーンでテンション爆上がりしたり、最後の別れのシーンでぐずぐずに泣いたりと、彼のまっすぐさとに引っ張られるように楽しめたものの、色々と都合の良いところも感じました。

ただ、別れのシーンからエンディングに突入し、曲の歌詞がホムラからレックスへの想いになっていることで追い打ちを食らい、Cメロで別れを歌っていた歌詞がもう一度だけ時間をという気持ちに変わっていくのに合わせて様子が変わり、ラスサビ歌詞に合わせて再同調でホムラとヒカリが現れてのタイトル表示「第10話 そして少年は少女と出逢った」は完璧すぎてなんかもう全部良かった、最高だったという気持ちに。

大人になれよと言われて別れたけれど、無理やりにでもハッピーエンドに引き戻すのが、やっぱりそういう子供の真っすぐさを謳うゲームなんだなとも思ったり。

 

後はキャラクターはやっぱりみんな好きなのですが、中でも好きなのはニア。彼女もまたマンイーターであるが故に追われて諦めていたものをレックスに出会って救われて、だからこそ本当の自分を出せたブレイドニアのイベントが非常に印象的でした。思わずその後のパーティ編成をニアをブレイドで使うために大幅に見直したくらいに。あとシンが最後にニアにかけた言葉さあ!

どうあがいても負けヒロインだよなあとは思うのですが、どうか幸せにと思います。

あと亀ちゃんことジークも、序盤の胡散臭い関西弁を喋るギャグキャラ路線から後半に来ての頼れる兄貴分っぷりが最高でした。敵ではあるが、自分を救った人でもあるマルベーニに向けての最後のつぶやき、苦みがあって良かった。

 

 

とここまでが本編をやっての感想。で、「黄金の国イーラ」ですよ。

システム的な改善が入ってかなり遊びやすくなっているところも良かったのですが、物語の位置づけとそれによって本編の見えなかったところが見えてくる構造が凄かった。

 

本編の中で断片的に回想されていた500年前の聖杯大戦、つまり古王国イーラが雲海に沈んだ事件があり、シンとヒカリの運命を変えた出来事でもあるそれ。シンのドライバーであるラウラ、英雄と後世に伝えられるヒカリのドライバーだったアデルを中心に描かれるのは、約束されたバッドエンドへ向かうストーリー。

いやもうほんと辛い。パーティメンバーがみんな魅力的で、イーラという国も魅力的で、でも沈むんですよこの国。プレイヤーは滅ぶの知ってるの。特に終盤、クエストをこなしてヒトノワと呼ばれるもののレベルを上げる必要があるのですが、このクエストの内容がメツに襲われたイーラの復興関連で、街の人たちの悩みを聞いたり助けたりするうちにどんどん愛着がわいていくんですよ、滅ぶと知ってるこの国に! もう敵国に潜入してその住人の温かさに触れたスパイの気分ですよ。

エストをこなすとヒトノワ=人の輪が広がっていき、人々が連帯して更にいろいろな難題を解決して、いつの間にか街は一丸となって住人たちの口からは未来を見た希望が出てくるようになる。そしてその中心にラウラとアデルがいて、一身に期待を背負って、メツを倒して帰ってきてねと言われ、戦いが終わったら何をするんだと言うのですよ。

でも滅ぶんですね、話を進めると。あまりにあっけなく。あんなに希望に溢れていた人々と街が、天の聖杯の力で一瞬にして崩壊する。その力の絶大さと、あれだけ希望を持たせた中で何も救えなかったという悲しみが、ヒトノワを繋げたからこそ全部跳ね返ってくる。彼らのことなどよく知らなければ、まあそういう歴史だもんねで済むことが、強制でクエストをこなさせることで無理やり自分事にさせられる。いやもう完璧なゲームデザインにして、どんな鬼畜の仕様かと。

 

そしてイーラで感じた忸怩たる思いを胸に本編を振り返ると、レックスと一緒に前だけを見て駆け抜けたその裏に、いったいどれだけのものがあったのかを思い知る訳です。

例えばファンの登場シーン、カスミのことを知っていると忸怩たる思いになるし、彼女を見たシンのやったことも分かるけど、それはまたファン・レ・ノルンという存在の否定でもある訳で、ドライバーが死ぬとコアクリスタルに戻り、再同調時には過去の記憶を失うというブレイドの仕組みが生み出す闇を感じたりとか。

 

そして何より、レックスからだけではなく、ホムラ/ヒカリからの想いが見えてくることで分かるものが大きい。ホムラ/ヒカリの存在、レックスにあんまり都合が良くない? まあヒロインだからかなと思ってたんです。でも500年前を踏まえて、二人とレックスの出会いから、交わした会話を振り返ると、都合が良すぎるくらいの存在だったのはどっちだよって。その力でイーラを沈めたことで自分の人格さえ封じたヒカリが、レックスの言葉でどれだけ救われたのか。自分たちの消滅を望んでた二人が、どうしてもう一度未来に手を伸ばそうと思えたのか。レックスは確かに前しか、自分しか見えていなかったけれど、その過程で彼女たちの欲しかった言葉をどれだけ伝えていたのか、イベントシアター見返してびっくりしました。それはEDの歌詞がああなる訳だと。

それはまたシンも同じで、イーラが沈み、ラウラを法王庁に奪われ人を憎んだ彼に、かつてイーラの仲間たちと追いかけた希望をもう一度その姿と言葉で見せてくれたのはレックスだったのだと思います。だからこそ、ずっと頑なだった彼のラストシーンがああなったのかと。

あとサタヒコ、どうしていきなりレックスたちを守ってマルベーニ相手に特攻したのかと思ったけど、それは! そうなるよな!! 彼もまた、マルベーニのことは絶対許せないだろうし、レックスたちの姿に思うところがあって当然だったのだなと。

 

500年前に潰えた希望。それを鮮烈に体験させてくれる黄金の国イーラという追加コンテンツを踏まえて、改めて感じる今一度の希望を灯したレックスという存在。レックス自身は過去を背負わずに現在と未来を見据えていて、だからこそ過去からの因果を断ち切り、未来へと希望を繋ぐことができたのですが、絶望の源に何があったのかを知ることで、改めて大きな枠での物語が見えてきます。まず最初はレックスと共に駆け抜けて、そして過去を知って俯瞰することで絶望と諦めを断ち切る物語としての裏打ちを得るという、一度で2度美味しい構造になっているのが凄いなと思いました。

そして、本編の強引なまでにハッピーエンドに持っていくやり方、無理やりじゃないかと思うところもあったのですが、この物語には500年前の挫折を経て、どうしてもハッピーエンドにならなければならない物語としての必然性があったのだなと、改めて感じました。レックスは背負っていないからこそ成し遂げたのだけれど、物語としては500年前を背負っているというか、そうでなければならなかった、そうなることを謳い上げる物語でなければいけなかった。だからこそこの熱量で、この勢いで押し切るだけのパワーが生まれたんだろうなとも思います。

【ゲーム感想】ゼノブレイド Definitive Edition

ゼノギアスゼノサーガは大好きで、ゼノブレイドは興味はありつつも手を出していないゲームだったのですが、そろそろ3の発売だというのと、GWセールで安くなっていたことでついに。全てのクエストをやった訳ではなくても、つながる未来と合わせるとクリアまで90時間くらいの大ボリューム。そして、スケール感もまさにど真ん中の大作RPGといった趣でとても面白かったです。

そう、真っ当に面白いんですこのゲーム。ゼノシリーズって色々と粗があっても尖った個性と難解な設定とこういうのやりたい! っていうのが伝わる熱量でその倍の加点を叩き出すみたいなゲームで、私は好きだけど人に勧めるかというと難しいところがあったのですが、これはもう胸を張って面白いRPGだよと言えるクオリティに仕上がっています。どうしたモノリスソフト任天堂に買われるとそんなにレベルが上がるのかモノリスソフト

 

ゲームとしては要素盛りだくさんなのですが、やっぱり大きな売りは広大なフィールドだと思います。とにかく広くて、景色が良くて、そして高いところが怖い。オートランやランドマークへのスキップ機能のサポートもあって、まず走り回っているだけで楽しいというのがベースとして強いです。特に序盤のガウル平原のどこまでも広がっていくあの感覚、BGMと合わせてとても気持ちが良い。そしてそれが大量に存在するクエストをこなすモチベーションにもなっているのも良いところ。滅茶苦茶親切なナビゲーションが出るので変に迷って詰まったりしないとても優しい設計で、サクサクとこなせることも低ストレスで個人的には良かったです。

 

あとはネットゲームっぽいバトルシステムも一見難しそうに見えるけれど慣れれば意外と簡単で良かった思います。結局シュルクで後ろからバックスラッシュをして未来視が来たらモナドシールドするだけの人になっていたのであまり偉そうなことは言えませんが、それでもちゃんと闘っている感はあって悪くなかったです。ラスボスもずいぶん死んだけど、ちょっと攻略情報見て工夫をすれば何度目かのチャレンジで倒せましたし、バランスも適切だったのではないかなと。

それからBGMが良かったのですが、やはり「名を冠する者たち」が最高だったと思います。ネームドの固有モンスター戦の曲ですが、否応なくテンションが上がる曲、兼やっべえなんか来た逃げなきゃとなる曲で一番耳に残っているところです。


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以下はネタバレあり。

 

 

ストーリーとしてはゼノらしい難解さは影を潜めた王道冒険譚。そして情報の出し方も懇切丁寧で、こいつ怪しいぞだとか、これはこういうことでは? と思うところは大体そのまま来る素直なストーリーになっています。まず冒頭コロニー9が明らかに襲われそうで幼馴染ヒロインがあまりに死にそうなところから始まる訳じゃないですか。そして復習譚として開幕するのでよし来た了解となる感じ。アルヴィースだけはお前裏切るでしょ? 裏切らないの? やっぱ裏切るでしょ?? と掌で転がされまくりましたが。

そんな風に先の予想ができたら面白みがないじゃんというとそういう訳ではなく、方向性は裏切らないけど、スケールで超えてくるものになっていて、そこも変化球じゃなくて正道で攻めてきています。やっぱこう、巨神も機神も動くのかなとは思ってたけど、実際ああ動いたらうおおおおってなる訳じゃないですか。そして終盤にかけてはゼノらしい背景設定も見え隠れさせながら、最後までスケールを上げ続けてやり切っているのが凄いなと。

ただ、展開の読みやすさは中盤のストーリーの感情移入の難しさに繋がっているようにも思います。シュルクの復習譚としてはクライマックスを迎えるあたりで敵である機神側の事情が丁寧な伏線として出てくるので、いやーちょっとそれはやめた方がいいんじゃない? 話聞いたほうがいいんじゃない? みたいな気持ちになってキャラクターとプレイヤーの気持ちが乖離するのが、RPGとしてはちょっと辛いかなと。マップ的にも雪山とか大剣とかあまり楽しい気持ちにならないので、個人的にはちょっとダレるところではありました。

そこを超えてマシーナが出てくるあたりで世界背景がばっと広がって物語が次のステージに上がってからは、ゼノシリーズなんだなこれというテイストが強まり良かったです。だって最初の設定聞いた時点でこの世界の生き物、巨神復活のためのパーツなんでしょ? とか、ザンザの初登場の当たりのイベント見て、また永劫回帰してるパターンですかね? と思うし、そういう世界レベルの話とか観念的な話が入ってくると、お変わり無いようで良かったですという気持ちにもなる訳で。世界の始まりに事象転移の実験とかやってるところに至っては、お前やっぱりゾハルじゃねーか!! ってなりますしね。とはいえ、その辺りはフレーバー的なものにとどめて、ストーリーは分かりやすく必要最低限の説明でテーマはブレずに構築されているので、なんだか大人になったゼノシリーズという感じではあります。

そしてテーマと言えば、定められた未来を変えるというストーリー上のテーマと、シュルクの未来視で戦闘中に何度も未来を変えてきたことの意味ががっちり噛み合ってなるほど! となるのは非常に上手かったなと思います。

 

それから、ストーリー的には追加コンテンツの「つながる未来」ですよ。本編エンディング後、大戦の後の復興中の世界で人々がどう生きていくのか、そしてそこでメリアがどう向き合っていくのかが大きなテーマとなるこの話。まず、エンディング後の世界がどうなったか話が大好き人間としてはそこをしっかりやってくれて大変に結構だったのですが、やっぱり最大の魅力はメリアの株が爆上げになるところ。

このメリアというキャラクター、皇太子という立場なのですが、本編では義母に命を狙われ、皇主である父を喪い、兄も喪い、恋には破れて国は滅ぶというあまりにも過酷な運命を突き付けられ続けます。そんな中でも最後まで戦い続ける強さが魅力ではあったのですが、つながる未来ではその芯の強さが民を導く者として大開花。巨神肩に生きる人々の前で、皇統を継ぐに値する器を見せてくれます。民の命を背負って生きる者としての覚悟というか、矜持というか、まさにノブレスオブリージュ。いやーロイヤルだった。好き。世界の復興と人々の未来、血の繋がらない姉妹であるタルコとの関係の清算、そこから繋がっていく未来まで含めて完璧な締め方で、本編をやっていることが前提ですが、個人的には本編以上に満足度の高い追加コンテンツでした。

ちなみにキャラクターの話をすると、本編はどのキャラもちゃんと好きにならせてくれるあたりのバランス感の良さも美点だと思います。その中でも主人公のシュルクはやっぱり好きになるし、戦闘では大変お世話になるダンバンさんも良い。あとノポン族のリキの見た目や普段の言動に反して大人なところが見えるのが非常にズルい。これがギャップ萌えってやつか。兄上も国を率いるには真っすぐすぎたけど好青年だった。あとはメイナス様。もう絶対好きになるようにストーリーが作られているので抗えない部分があります。

 

そんな感じで重い腰を上げてやって良かったと自信をもって言える名作RPGでした。これで3までやることは自分の中で確定したのですが、このボリューム感だと2のクリアは3発売に間に合わないというのが悩みどころ。というか何故発売日が前倒しになるというマジックが起こったのかと思うのですが、まあ慌てずゆっくり進めていきたいと思います。

【ライブ感想】THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND!!! 4/2・3 @ ベルーナドーム

 

本当に、10年追いかけてきて良かった。そこに尽きる10周年記念ライブでした。

 

初日は過去ライブの振り返りで豪勢な走馬灯といった趣で、ある種の再演なので基本的には過去を振り返りながらニコニコ見ているライブだったのですが、2日目がまあとんでもなかった。

シンデレラガールズの歩んできた10年。人気投票上位30を含む2日で100の楽曲に気の遠くなるような着数の衣装、常にクライマックスを感じる圧倒的物量と、好きで追いかけてきた人ほど刺さる演出で、その全部を燃やし尽くすようなライブ。いやもうラストブロックではでろでろに泣いたし骨も残らないですよこんなの。あの時も、あの時も、あの時も、好きで良かった、追い続けて良かった、信じて良かった。荘厳さすら感じる「ココカラミライへ!」からの「always」、嬉しいとか報われたとかエモいとか、もうそういう言葉じゃなくてただ有難やと思って見ていました。もはや大仏を拝んでいる心境に近い。涅槃は確かにそこにあった。

 

シンデレラガールズってどうしてこんな人気になったのが良く分からない変なコンテンツなんですよ。初期の広告バナーの「変なアイドルがいっぱい登場!」の宣伝文句、身もふたもなくシンデレラらしくて好きなのですが、今となっては200近いキャラクターに徹夜して作ったとしか思えない出オチ的個性とイラスト2枚を与えて世の中に放り出し、そこに人が集まって血肉を与えていって、気が付けばこんなに大きくなった。総選挙という競争に一喜一憂して、サプライズでボイスが付けばお祭り騒ぎで、キャラクターは同期でもキャストは先輩後輩が生まれる非対称性があって、格差はバリバリでいまだに半分には声さえついていない。行き当たりばったり感のある未曽有の展開を繰り返して、後発コンテンツが追いかけてこない荒野をちょくちょく燃えながら一人切り拓いて打ち立てた歪な異形の大伽藍。

そんなコンテンツだから愛しているし、そこに付いてきたユーザ投票1位曲が「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」なの、まさしくシンデレラガールズの御旗に相応しいと思います。「私を選んでくれてありがとう」と歌う「always」、10回の総選挙で渦巻いた全ての情念を土台に10人のシンデレラガールが立つ「ココカラミライへ!」を最終ブロックに畳みかけたのも、常時ガチャのようなオールシークレット公演を10周年の締めくくりに持ってきたのも、まさしくシンデレラガールズの在り方、コンテンツとしての生き様を焼き付けるようなライブになっていて、本当に凄かった。やっぱり圧倒的な感謝と、追いかけてきて良かったという気持ちに集約される2日間だったと思います。

 

それで燃え尽きてもおかしくないし、実際骨も残らない気持ちではあったのですが、U149はアニメになるっていうし、総選挙はなんだか大変な形式になるし、ニュージェネ3曲目ソロなどなど温存されたものもあることも事実。

明確な区切りをここに刻んで、次の5年、10年へコンテンツとしてのメジャーアップデートを図るシンデレラガールズは、きっとこの先もフロンティアを走る狂ったコンテンツであり続けるのだろうという確信と、未来への期待を抱かせてくれるライブでもありました。「出会ってくれてありがとう」と、ステージにそのままの言葉をお返しするような共犯関係は、まだもうちょっと続くのだろうと思います。

 

 

あとは曲ごとの感想。

・初日いきなりへごが一人出てきておねシンをアカペラで歌い始めた時はこれはヤバいライブ始まったと思った。そのあと大事なところでMCを噛んで俺たちのへごっていう気持ちになった。そこからの1st振り返りセトリは老人に突き刺さります。「ススメ☆オトメ」、幕張公演が無ければいきなり死んでいたかもしれない。

・「BEYOND THE STARLIGHT」、デレステの周年曲で「頂点は一つしかない」って歌うのもシンデレラガールズらしくて好きな曲。ミリオンライブの「UNION!!」とはコンテンツの色の違いが良く見える、対になるような曲だなと思います。

・「Hotel Moonside」から「バベル」の流れは強い。そして投票2位に「さよならアンドロメダ」はマジか!? ってなる。

・「あらかねの器」、現地で聞いても圧倒的歌唱。いや鈴木みのりとんでもない。

・メドレーは加蓮が「毒茸伝説」を歌って爆笑しました。ついにやりやがった。あとIP全体の記念曲「なんどでも笑おう」を駄洒落で処理するのもシンデレラって感じ。未ボイスの3Dモデルでのウィアフレ、ライラさんがいたんですよね。声を……つけたい……。

・「情熱ファンファンファーレ」、最近は全体曲扱いをされていたからこそ、ポジパ3人での歌唱が五臓六腑に染み渡る感じ。底抜けに明るいのに泣ける、エモ曲なんですよね、これ。

・7th大阪に魂を惹かれ続けているので、バンドが出てきて爆上がり。生バン「Fascinate」がクッソ最高。

・やはりクライマックスは7th大阪と思っていたらそこから4th346castleに繋がって「流れ星キセキ」はオーバーキルでしょう。この曲はもう無条件に泣けるし、今のニュージェネだからこその揺らがない安定感に10年を見てしまった。

 

・2日目、開幕「Never say never」ソロ、スターリースカイブライト衣装で始めたのはやりやがったなという気持ちと、今日は絶対殺すからなという明確な殺意を感じた。

デレステゾーン、「EVIL LIVE」で推しを確認。昨日いなかったから今日はいると思った良かった。「レッド・ソール」、鈴木みのりがいなくてもこの破壊力かと。

ドリライメドレーは寸劇をはさみながらの進行がとにかく楽しかった。無限に見ていたい。追加組7名の「TRUE COLORS」で早くもクライマックス感。

・WWGからU149にMCのバトンが渡って、「ドレミファクトリー!」、原作がちょうどサマーライブを終えたところなのもあって激エモだし、梨沙が初めてドレミを歌うのも激エモだし、晴の「俺たち第3芸能課です!」も激エモだし、未出演メンバーが3Dモデル表示されて全員集合したところでもう情緒がダメだった。この後アニメ化発表で畳みかけられるとも知らず。

・休む間もなくアニメゾーンが始まって、「Nocturne」で楓さんやっぱ無理だったかと思ってたら、順位発表から「こいかぜ」イントロがかかっておわああああってなる。会場も多分そうなってた。早見沙織さん4thの頃から歌がさらに上手くなっており、美しいお声で神々しさがあった。

・武内Pと三城常務、歴史的和解。本時2度目のクライマックス。

・「オウムアムアに幸運を」、チトセとリサが一緒に歌ったことで情緒がやばい。卯月を中心にあの時の総選挙メンバー歌う「Take me☆Take you」もやばい。

・君ステのオリジナルメンバー披露もやばいし、「Life is HaRMONY」のアカペラ入りもやばい。ちゃんまきはどの曲に入ってもハスキーな良い声が際立つので、これだけの人数がいる中でスパイスになっているの、凄くいい仕事しているなあと感じました。

・VILLAIN、Bambiと背景で館が燃え続けてるのちょっと面白かった。

・本日も生バンド、そして個人的には予想していなかったランキング入りの「 Twilight Sky」。1stから続くグラデーションになる客席きれいだな、りーなというか瑠璃子立派になったなと思いながら見ていたのですが、後半の「上手く歌うんじゃなくて~」のあたりからなんかもう分んないけどボロボロ涙出てちょっともう駄目だった。エモ、エモがある。

・あの頃は声がついていなかったメンバの「GOIN'!!!」、いつもの手口なんだけれどどうしてもグッとくるものはある。

・ランキング上位曲で畳みかける中で、「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」1位発表はこれかあと思った後、シンデレラガールズの1位ならこれしかないわと。

・そして特殊イントロから「S(mile)ING!」。ここにあるのは島村卯月の10年なのですが、やっぱり大橋彩香ファンとしては推しの10年を感じてしまってまたしてもボロ泣き。アニメの卯月のテーマがあの頃の推しにとって凄くシンクロするものがあったのは感じていて、それを乗り越えて、笑顔なんて誰でもできると泣いて頑張るしかないから頑張っていた島村卯月が「頑張ります!」と笑顔がトレードマークのアイドル島村卯月になったと感じさせる自然体で余裕が見えるステージングに、この10年の確かさを感じました。

・「ココカラミライへ!」、総選挙というものが積み上げた果て。荘厳。光り輝いていた。追いかけてきて良かったなと思うと同時に、ありがたや……と拝みたくなる何か。

・「always」、ボイスが付いた順にライトアップされていった、全58人による斉唱。声を付けたくてじたばたした時期があったから、梨沙がこの曲を歌っていることにありがとうという感じ。集貝さん、あの声であの個人衣装が似合う人、本当によく見つけてきてくれたと思います。ありがとう。泣いた。

あとライブのステージに立てなかった全アイドルのイラストが背景に表示されていく演出、やてちることはベタもベタもベタなのですが、ここまで盛り上げて最後に決めるべきところで決めたベタなので、それはつまり最高でした。JUNGO演出、今回はマジで凄かった。

・なんかもうボロボロになっていたら、告知でU149アニメ企画始動と言われて感情がキャパを超えた。1週間たったけど、いまだに実感はない。

・10周年の投票10位でライブの最後100曲目が「お願い!シンデレラ」はちょっとできすぎでしょう。

【小説感想】ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 2 / 小川一水

巨大ロケット宇宙漁SFという胡乱なジャンルとは裏腹に、旧い世界からの脱出を目指す女×女バディの王道冒険エンターテインメントでこの巻もとても面白かったです。しっかりした設定に話運び、キャッチ―なキャラクターに王道を行く展開は流石実績あるベテラン作家の仕事という感じ。

 

1巻ラストで何とか生還した二人でしたが、ダイはゲンドー氏に捉えられ、テラは強制送還され離れ離れに。ただそんなことであきらめる二人ではなく、それぞれに再会のため、そして広く自由な宇宙へ飛び出すために動き出します。立ちはだかるのは、氏族船の旧い常識……かと思えば話は周回者の来歴の秘密、ゲンドー氏の大きなたくらみへと広がって、二人は大きな事件の渦中に巻き込まれていきます。

次から次へと展開していく物語のスピード感やアクション、ゲンドー氏であればちょっと変に伝わった日本のような各氏族船の持つ独自の文化も魅力ですが、やっぱりこの作品と言えば宇宙漁。今回はニシキゴイ漁ということで、惑星の極点でオーロラの中、プラズマの滝を昇るニシキゴイと、それを捕らえんと取りつく宇宙船という、もうそれだけでワクワクする絵面が思い浮かぶ設定が素敵です。そしてただぶっ飛んでいるだけでなく、ニシキゴイが滝を昇る原理がしっかりしていて(私は物理の勉強をしてないのでなんとなくしか分かりませんでしたが)、その仕組みを解析し如何にそれを攻略するかという面白さもあるのが良かったです。

そういう意味では贅沢を言うと、クライマックスシーンはニシキゴイ漁が良かったなという気持ちもあります。ストーリーの流れ的にはそうならないのは分かりますし、この重力入り乱れるアクションのクライマックスも面白いのですが。

 

キャラクターでは、ダイとテラの二人の関係がやっぱり良いもの。すぐに頭に血が上るダイよりも、おっとりしていそうなテラの方がとんでもないことをやらかすのが、ベタですが良いバディだなと思います。あとはダイのゲンドー氏にいたころの元カノである瞑華が好きなキャラクターで。旧い社会に閉塞と反発を感じながらその枠組みの中でしか生きられない者が、それらを振り切って飛び出したダイに向ける好意と羨望と怨嗟の入り混じったどろっとした情念、最高でした。性格が悪いように見えて、根は良い子っぽいのも報われなくってポイントが高い。最後の一歩を踏み出せなかった彼女が、周回者の社会の中でどう生きていくのか、そういうスピンオフも読みたいなと思います。

 

都合の良いばかりではない事実を知っても、ついに何も保証されない汎銀河往来圏へ飛び出したダイとテラの二人。外から周回者に寄せられたメッセージ、人の想像力を借りて形を変える粘土という存在の怪しさなどなど、外の世界でもまだまだ気になる要素は残っているので、この先の彼女たちの冒険も読みたいし、まだまだ続いてほしいシリーズだと思います。

そしてゆくゆくはアニメ化を。劇場版でもテレビでも何でもいいのでなにとぞ。こんなに映像化に向いている作品もそうそうないと思うのですが。

 

ちなみにこの作品、百合SFアンソロジーに収録の短編がもとになりますが、百合かというとそこが主眼ではないし、そう呼ばない方が良いのかなと。同性愛が許されない社会でレズビアンの二人はこう生きたという、それだけのこと。もしその関係を特別で特殊なことだなど扱おうものなら、それこそダイに凄い顔をされちゃいそうだなと思います。