【舞台感想】We are RAISE A SUILEN ~BanG Dream! The Stage~

 

ERA【Blu-ray付生産限定盤】

ERA【Blu-ray付生産限定盤】

  • アーティスト:RAISE A SUILEN
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: CD
 

配信で視聴。現地とは別物だけれども、現地に行くことができるか、行けるとしてもチケットが取れるのかがわからない以上、これはこれで今後もやってほしいなと思います。

 

ブシロードのキャラクターコンテンツはこういうものだというのを見せつけたような舞台でした。本来、RASのメンバーは舞台本職ではないというか、そもそも演技本職ではない人もいて、ライブはわかるけどなんでまた舞台と思うところはあったのです。でも、リアルバンドのライブもアニメもゲームも舞台も同じキャラクターを一体のものとしてキャストがやる、しかも基本は同じストーリーを見せ方を変えながらというのが、こういうふうに見えてくるのだという驚きがありました。

一貫してキャラクター=キャストであることの強みというか、キャストの経歴も踏まえてキャラクター設定されてることもあって、本当にキャラクターにしか見えないし、その上で同じ物語を塗り固めていくことで確固たるものになっていく。私たちはRASのフロントだとキャストが言った意味がわかるというか。

ライブだろうが、アニメだろうが、舞台だろうが、それぞれでの最善を目指すのではなく、その確固たるもの=キャラクターの魅力が全てに優先されるからこそのキャラクターコンテンツなのだろうと。あと、このリアルとキャラクターを一緒くたにして作っていく感じ、プロレス団体を持っている会社だなあと思いました。

 

舞台の中身としては、アニメでもガルパでも語られているRAS結成の物語をもう一度語りながら、その前とその先を補足していくようなお話。思い通りにならなかった世界を変えてやると一人楯突いたチュチュの物語を、初めは手駒としか考えていなかったメンバーたちの存在が、5人のバンドの物語にするまでが描かれます。

RASって本当に手に入れたいものは何も得られなかった人間が叫び声を上げて世界に噛み付くような、反逆と革命のバンドだと思うのですが、それって100%純粋にチュチュのエゴであって、彼女の物語でしかありません。でも、全員が「覆い隠すもの、封じるもの」という意味の名前を与えられたメンバーたちにも秘めたるものがあって、それはチュチュに拾い上げられたからこそ音になった。だから彼女たちは行き詰まったチュチュを見捨てずに手を伸ばすし、そこで初めてRASは5人の物語になり、チュチュはRASについて「私の」という枕詞をつけて語ることをやめます。

アニメでそのターニングポイントで4人から送られる曲が「Beatiful Birthday」なのですが、これ、あなたが世界に愛されなくても、あなたが世界を愛さなくても、私たちがあなたを愛すよっていう歌で、なんか舞台で初めて聞いたフルだとそれに私もって返してましたよね、私の気のせいじゃなければ。いやあ……それはちょっとエモが過ぎる。そしてこの5人で閉じた世界を「神様なんて いらないくらいの 完璧な Beautiful World」って言い切れてしまう稚気とそれ故の強さがまさにRASという感じで、本当にしみじみと噛みしめるように好きです。

そうやって5人の物語になったRASですが、それによって逆にチュチュを中心とした、チュチュが初めた、チュチュのバンドであるということが明確になったような感じもあります。チュチュが抱えていた、叫びたかったものが、4人の存在によって確固たるバンドの色になったというのが、ここまでの物語だったのだと思いました。

 

あと、アニメでのチュチュが行き詰まっていくまでの状況に対してのパレオの心情が補足されたのですが、道を外していくチュチュに対して私だけが最後までそばにいればそれでいいから何も言わなかったというの、あまりにもパレオって感じで大変良かったです。結局彼女は貴方だけがいても仕方がないと言われてしまう訳ですけど、いやでも君はそういう子だよ。