【マンガ感想】バビロンまでは何光年? / 道満晴明

 

 

道満晴明作品は毎度言葉ではなんとも表現し難いのですが、今回はめちゃくちゃ良かったので、とりあえず良かったとだけは書き残さなければと。

消滅した地球の最後の生き残りのバブが、謎宇宙生命体と機械生命体と一緒に宇宙を旅する物語。最後の人類であるバブの種族保存への本能が暴走して女を求めるみたいな下方面から入った物語は、様々な星をめぐるうちにいつの間にか子供たちが登場し、四次元人が登場し、そして地球の消滅と宇宙の誕生に迫り、お台場に着地しました。無軌道のようでいて、あまりに綺麗に大スケールと小スケールが回収されて、このタイトルに美しく収まったので、ちょっとびっくりです。10点満点の着地。

短い1話の中で、次から次へと予想もしない展開があり、それは常識や倫理から容易く外れるのですが、変に常識的で世俗的だったりもするし、理不尽なようでこの作品の論理がある感じ。そして、何があっても崩れないどこか飄々とした空気。そこに不思議さと切なさを加えたような味わいがとても触りが良くて好きです。

それから、キャラクターにも魅力があって、バブなんてあまり立派なやつではないのですが、不思議と憎めないし、愛すべき人間なのが良かったなと思います。バブだけでなく、一緒に旅をするホッパーとジャンクをはじめ、出てくるキャラ出てくるキャラがどこかちょっとずれた感じだけど、なんとなく愛すべき良いやつらなのが作品の雰囲気にもなっているのかなと思います。