【マンガ感想】ディメンションW 16 / 岩原裕二

 

 百合崎博士の目的や虚無に沈もうとしている世界の行方、そしてその中でミラとキョーマが何を選ぶのかが描かれる最終巻。

これまで積み重ねてきた謎や関係性がクライマックスに向かって加速しながら結集していく展開は王道でさすがの盛り上がりという感じ。未知のエネルギーを前に、感情を踏まえ、人が抱く可能性というものを謳い上げるのは、確かにこの作品の最後にふさわしく、面白かったです。

その中でもやっぱり良かったのがエリーとミラが自分の手で幸せを掴み取ってくれたこと。エリーは本当にね、シリーズ途中からとにかく幸せになってほしいと願い続けてきたので、感慨もひとしおで。一人で逃げ出して、手を差し伸べられて生き延びた彼女が、誰かに手を差し伸べるようになった。それを自身の力と選択で勝ち取って、あんな表情を見せてくれたらもう本望です。そしてミラの成長は、この作品はいろいろな要素を含みながらも、ロボットが恋を知る物語だったんだなと思わせてくれるものでした。いやめっちゃ危険じゃんと思わなくもないけれど、それはまあ、愛なら仕方ない。