ひぐらしのなく頃に 第一話〜鬼隠し編〜(上) / 竜騎士07

ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX)

ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX)

同人ゲームから始まってメディアミックスを繰り返してきたひぐらしの最後を飾るのは、満を持しての竜騎士07本人による小説版。
上巻ということで、幸せな日常が少しづつづれてくるところまでが、雛見沢という村に引っ越してきた少年前原圭一の視点から描かれます。良い仲間たちにも恵まれて、村での暮らしに慣れてきた所で聞いてしまった、過去、そして今も続くという惨劇、隠された秘密に近づこうとすればするほど、幸せだったはずの日常は形を歪めて……という話なのですが、一度鬼隠し編はゲームで最後までやっているだけに、上巻の感想を書くのも難しい。
雛見沢という村を描いた物語であるとともに、仲間だから、認められたいからこそ知りたいという想いが禁忌を侵犯してしまう、人と人との関り合いの中の不可侵領域を絶妙についてくるところは見事だと思います。
ただ、この作品の日常パートはどうにもわざとらしさを感じて少し苦手。キャラクターは「鉈」で有名なヒロインレナの照れるところが可愛いのをはじめとして魅力的だと思うのですが、この設定に対してのキャラクターたちのこの語尾にはちょっと違和感が。あと、…と!?を多用する文章も少し気になりました。
サウンドノベルと小説という媒体に関しては、耳を離れないひぐらしの鳴き声や例のシーンのような演出、怖さといった皮膚感覚での迫力ではサウンドノベルに軍配が上がると思いますが、個人的には自分のペースと想像力で読める小説が好み。
あと、イラストに雰囲気があって素敵です。これはこの先の巻の表紙も楽しみ。
なんだかかんだ言いつつも、原作の、特に「解」に入ってからの評判の良さを考えて続きも読もうと思うのですが、このペースですら完結は2年近くかかるのではないかというのが最大のネックかもしれません。
満足度:B+