うみねこのなく頃に Episode1:Legend of the golden witch 1巻 / 竜騎士07・夏海ケイ

台風によって孤立した島に集められた18人の人間たち。そして魔女から届けられる謎の手紙。
富豪一族の遺産争い、魔女ベアトリーチェに心酔する当主。そして魔女の残したとされる隠し黄金。直系の子供達と、外から入ってきた人間の立場の差。使用人たちの間の微妙な人間関係。そして霊感を持った小さな娘は、雨の孤島で居ないはずのベアトリーチェに手紙を渡されたと語る。
最初からキナ臭い空気を孕んでいだ親族の集まりが、魔女からの手紙によって発火する、まさに惨劇の手前のような引きで終る第一巻。18名も登場人物がいると混乱するかと思いましたが、きっちりキャラ付けがされていることと、典型的な一族の遺産争いの構図であることから以外とその辺りは把握しやすい感じ。絵的にもキャラクターがきっちり描き分けられていますし、この原作者の作品らしい日常と狂気のメリハリがきっちり出ていて好印象でした。
竜騎士07の描く日常描写は相変わらずどうも合わなくて、戦人の軽口や真里亞の口癖はうーんと思う部分もあるのですが、ひぐらしでもあれだけのものを作り上げている原作者だけに、この先の展開には期待。典型的なミステリのパターンを、おそらくは意識的に踏襲しているここまでの展開で、これはロジカルな謎解きではなく「魔女は存在するのか?」という問いであると語る作者がどんな罠を仕掛けているのか、気になるところです。