生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1 / 葵せきな

ドラゴンマガジン掲載分プラス書き下ろしの番外編。普通は短編集になるところを、本編も短編集だから短編集と呼べないというのがなんとなく面白かったり。
中身の方は相も変わらずギリギリのネタやベタベタのネタを中心に暴走気味のノリで駆け抜けています。ただ、生徒会室で鍵視点というパターンを外した番外編なので、キャラの組み合わせやイベントに幅が出て本編より自由な感じになっています。
そんな生徒会室外で繰り広げられるネタは大概にアレな感じのものばかりなのですが、中でも中目黒君の視点で語られる話は思わずニヤニヤしてしまうものが。真冬の妄想BLから始まった中目黒君(創作)×鍵のカップリングが、気がついたら本当に中目黒くんが転校してきて、さらにぐんぐんと鍵への好感度を上げて、気がついたら妄想が現実に……みたいな流れはベタながら面白かったです。そしてその裏で繰り広げられる、宇宙姉弟と深夏、鍵を巻き込んだ色々救われない恋愛感情の行き違いも楽しい感じ。
他にもちょっと危ない位に兄ラブな妹と妹ラブな兄をやっている鍵の兄妹話で、しつこいほど繰り返されるカル○スネタをグッとこらえていたら、まさかのヤ○ルトに思わず噴いたり、杉崎不在の生徒会室で繰り広げられる杉崎の雑務カバンびっくり公開ネタに思わず噴いたりと読んでいて色々大変な一冊。作者も述べている通り、ここまでくるともはや小説というよりもコントの楽しみ方な気がしますが、そこは面白ければOKということでひとつ。
それにしても鍵は本当に完璧超人。むやみやたらと良い奴すぎて、逆にちょっと怖い気すらしてきました。そりゃ世界の平和を守ってると言われても思わず信じてしまうよ、みたいな。
そんな感じに楽しい一冊でしたが、この表紙イラストはさすがになんというかアレすぎて買い辛いと思います!