ななかさんの印税生活入門 1 / kashmir

 

 マンガ家の両親に幼少期より振り回されてきたななかさんが、両親よりも印税収入を稼いでやると思いたち、なろう的なサイトに小説をアップロードする4コマ漫画。

そんなななかさんと友人と美術部員の3人が、主にラノベだったりなろう系だったりのテンプレ弄りをしているのを基本に、いつものkashmir的なエッセンス(幼女とか妹とか)が振りかけられたものなのですが、ななかさんがどうだこうだ言いながらちゃんと書き上げてアップロードして読者の反応に一喜一憂してるのを見ると、凄く良い青春ものだったような気すらしてきます。

ここがめっちゃ面白い! という訳ではないですが、不思議と良いなという感じのする一冊。何かよくわからないけど好き、みたいな。うん、良かった。

少年メイド 10 / 乙橘

 

少年メイド10<少年メイド> (B's-LOG COMICS)

少年メイド10<少年メイド> (B's-LOG COMICS)

 

 完結。

千尋と円の関係、お祖母ちゃんとの関係、姉と弟の約束。とても綺麗にまとまって、2人と彼らを見守る人たちの暮らしはまだ続いていくのだと感じさせてくれる結末でとても良かったです。何もかもが上手くいったわけではなくて、死んだ人は戻らないし、円と本家の雪解けはまだ遠い。それでも、人と人の縁があって、優しさがあって、約束があって、全部つながっていて。だから、これは素敵で温かい物語だったなと。

母親を失って行き場を失っていた千尋も、人を避けるように暮らしていた円も、一緒に暮らすことで確かに家族として変わっていったものがあって、本当に周りの人々にも恵まれて、ここに確かに居場所を見つけたのだと思います。このお話はここでピリオドが打たれますが、彼らの生活はこれからも続いて、また辛いことも涙することもあるかもしれなくて、けれどきっともう大丈夫だと。そう安心できることを、心から良かったねえと言いたくなるような、そんな物語でした。好き。

大正箱娘 怪人カシオペイヤ / 紅玉いづき

 

 1巻を読んだ時もこれはとても好きだと思って、でも感想を書こうとすると言葉が浮かばないという感じで、それはこの2巻を読み終わった時にも同じではあったのです。ただ気がついたことがあって、それは私はこのシリーズをとても綺麗だと感じているんだなと。設定がとか、ストーリーがとか、それはもちろんあるのですが、ただそれを全部包含した上で、もっと直接的に感じる魅力として、綺麗だなと。硝子細工だとか、万華鏡だとか、そういうものを見た時のような、この表紙イラストがまさにと思うような。

それは大正の時代、帝都を舞台に少し幻想的な空気のある世界観であったり、あるいは文章からくるものであったりするのだとは思いますが、一番それを際立たせているのは、やっぱり「箱娘」と呼ばれる少女の存在だと思います。

秘密も、密室も、人の記憶も、人の想いも、全ては箱の中。閉じるべきか開くべきか、何が正しいことなのか。その箱を開くことも閉じることも意のままな、どこか超越したものを感じさせる彼女。その力は真実を解き明かすこととさえ別のもので、それ故に彼女が纏うのは人とは異なる雰囲気。

最初は、彼女が結界とも言える屋敷の中にいるからこそのものだとも思ったのですが、たとえ外に出てきても、そこに現れた瞬間に場が凛とする、空気の色が変わる感じがあって、ああ彼女こそがこの作品なのだなと思いました。そりゃあタイトルにもなっているのだから、当たり前かもしれませんが。

進撃の巨人 22 / 諫山創

 

 やっぱり各話タイトルに作品名がどーんとくるとおおおおってなりますよね。という訳で、ここまでで第一部完と言った趣の一冊。

この作品、読み進めるごとに風呂敷が広がるわ盤面はひっくり返るわが随分と続いていて、流石にもう滅茶苦茶なのではと思うこともあったのですが、こうやって綺麗に線で繋がると、最初からこういう話だったのだろうなあと思います。

彼らの住む世界をめぐる大きな歴史と大きな設定があって、平和な生活から突如巨人に襲われたところから始まった彼の物語はその極一部にしか過ぎなかった。だから、世界が広がるたびに話の根底が覆されたような気がしていて、ただそれもここまで読み進めてみれば、狭い世界の中での出来事だったわけで。

こういうタイプの話だと、色々なものを伏せすぎて序盤が面白くなかったりすると思うのですが、この作品の場合それでも最初に一番と言っていいくらいのインパクトを残しているのがやっぱり凄いところだと思います。

壁とはなんだったのか、巨人とはなんだったのか、この世界はなんだったのか。それを知らぬまま、自由を求め闘い続けた彼らが心臓を捧げて、血を流して、多すぎる犠牲の上についにたどり着いた真実がこれ。本当にこんなものが求めたものなのか、ならば闘い続けた敵とはなんだったのか。それこそ喜劇ではないのか。

全てを知った上で1巻から読み返したらまた違う感想もありそうだと思いつつ、じゃあこの先の彼らは一体どうするのだろうというのが楽しみになりました。

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 / 一肇

 

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)

少女キネマ 或は暴想王と屋根裏姫の物語 (角川文庫)

 

二浪の末に東京は吉祥寺の大学に進学した主人公は、女人禁制のぼろ安アパートに住みながら、 何をする訳でもなく大学生活という流れに呑まれつつあった。そんな時、唐突に天井裏から現れた少女さちと出会い、みたいな導入の物語。

勿体まわした言い回しの一人称とどこか時代錯誤で悶々とするボンクラ大学生の日常に、一本通る筋は映画というもの。主人公が何故映画を嫌うのか、アパートに集まるキネ研の部員たち、そして才条見紀彦という存在。主人公が何故この大学に来たのか、才条はここで何を撮っていたのか、そして何故映画の魔物に呑まれて死んだのか。

その天才だった友人の謎を巡って物語はゆっくりと進んでいくのですが、瞑想系青春ミステリーと帯に謳われながらも、鮮やかに真相が解明されていくという訳でもなく、まあただひたすらに主人公がうだうだと暑苦しく迷走している感じ。それこそ青春とも言えますが、正直中盤までは割と辛く、語りの勢いとこんな子いないわと思うような純真清楚大和撫子なさちの存在でなんとか読み進めていたのですが、終盤が凄かった。

暴想王たる主人公の想いがほとばしり、映画という関わるものに全てを求める魔物が躍動する感じ。素っ裸になって全部をぶつけてたくさんを犠牲にして、それでも求める何かに向けて走り出す疾走感。そこまで溜め込んできた、どこにも行き場無く渦巻いていたエネルギーがそのまま熱になったような熱量と勢いは本当に凄かったです。

どうしようもなく今この時この画を撮るしかなかったという物語は、作者にとってどうしようもなく今この時に書くしかなかったのだろうと感じられて、それがまた勢いを生んでいるような感じ。この溢れ出る衝動はなるほど「このラストシーンを書けたらもう死んでも悔いはない」、「第2の処女作」なのだなと思いました。

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!! 3/11・12・13 @ 日本武道館 その2

その1はこちら。

 

アイマスのステージを楽しむポイントは、ライブパフォーマンスだったり、役者としてのキャラクターの表現であったり、自分の好きなキャラや曲が来た時の喜びだったり、それを表現してくれたキャストへの感謝だったり、他にもPの数だけあるように思います。そんな中でも個人的には、最高の醍醐味はキャストの気持ちが見える瞬間だと思っています。

楽曲、キャラクター、舞台への思い入れからくる気迫、何かを背負ってそれでもステージに立つ姿、キャラクターをそこに顕現させるんだという役者としての矜持。そういう魂のような、生き様のようなものが見える瞬間がたまらない。特に、キャラクターという存在があるこういうライブだと、自分自身としてステージに立っている時には出てこないものが表出するのが熱いと思います。

 

それは置いておいてミリオン4thの楽曲ごとの感想を箇条書きで。語彙力の保証はできかねますのであしからず。

 

・まず最初にロコが中村温姫さんで本当に良かった。あの愛嬌と小動物感最高です。「IMPRESSION→LOCOMOTION!」ああロコやわーと思いながら見てました。

・ナンスがどんどん垢抜けていく気がする「Happy Darling」。可愛い。

・「恋のLesson初級編」LOVEらぶりーまちこのコールの大きさにちょっと笑った。

・「ランニング・ハイッ」とにかくライブで盛り上がる曲だなあと。楽しい。

・念願の「アニマル☆ステイション!」を聞きながら、脳裏をよぎるジャパリパーク

・角元が痩せてる! 頑張った! 素敵だった!(だれらじ民の感想)

・「微笑み日和 」めっちゃ気持ち入ってて良かったです。郁原ゆうさん、歌もうまかったし、エミリーを大事にしていることも伝わってきてとても良かった。

・「りんごのマーチ」はダメです。あれは泣きます。田舎に帰りたくなる(東京生まれですが)。あと田村奈央さん、前回は固かったMCで真価を発揮しててこの人面白い(変な)人だと思ったのは今回の大きな発見。

・「創造は始まりの風を連れて」シークレット。揃えるか、そうか、じゃあ3日でTA3曲やるんだなと覚悟しつつ。やっぱりこのメンバー出てくると格が違うなと思うところもあり。

・「Emergence Vibe」めっちゃ良かった。これはまた見たい。角元頑張った。

・「fruity love」ロコー!! かわいいよーーー!!! ロコーー!!!

・「Growing Storm!」こっちは予想も何もないところから来た不意打ちシークレット乙女ストーム。山崎はるかが出てきた時の圧倒的な安心感と、これぞミリオンって感じが、これがセンターの力……と思いました。つよい。あとこのメンバーに普通に引けを取らない阿部里果さん何者なんだ。

・「DIAMOND DAYS」サビ入りのううううううういええええええのコールのタイミングを掴み損ねること多数。それは置いておいて晴れやかなエンディング感ある曲だなあと。

・「夕風のメロディー」近藤唯さんはもとより可憐本人かと言う感じなのですが、可憐らしさを失わずに、キャラクターと共にしっかり成長していているのが伺えて良いです。

・「Maria Trap」最初のMCで突然客席に7か条を振って、Pがちゃんとソラで答えたのも天空橋騎士団の練度に戦慄しましたが、そこでやったてことはこっちですよねーと。大好きな曲なので嬉しい。あとこっこさんMCも含めてアイマス愛が重いなって。

・「Raise the FLAG」ゆきよさんの歌声が映える曲。カッコよかった。

・こんなに柔らかく歌われている「Precious Grain」は初めてみました。

・「待ちぼうけのLacrima」圧巻。2日目ベストアクト。すげえ……と最高……以外の語彙を失いました。愛美のイケボもぴらみさんも良かったけど、この曲はとにかく駒形友梨、すごい才能だと思う。推さなきゃ……。

・戸田くんは上手いわけじゃないと思いますが、不器用が故に自分の全てをステージにぶつけてくる生き様の人で、それが本当に良いです。噛みしめるような「Get My Shinin'」、今回も最高でした。

・3rdの「アイル」や前日の乙女ストームでも場数の少なさを感じさせない堂々たるパフォーマンスに化物かと思った阿部里果さんがこんなに固くなるなんて思わなかった「POKER POKER」。明けのMCで泣きはらして出てきたのも含めて驚きと、4年越しの周年ライブ披露の重さ、真壁瑞希だからこそのポーカーフェースの裏にあったものを見ました。

・「流星群」バンドリの副次効果かギターがめっちゃ上達していて思わず笑っちゃいました。今まではギターも弾くことができるっていう感じだったのが、この日の愛美は完全にギターボーカルでした。

・本人の中で上手くいかなかったという3rdを乗り越えて、万感の「vivid color」。MCのこれでまた紗代子と手を繋いで歩けるという言葉まで含めて、最高のパフォーマンスだったと思います。ほんと駒形友梨やばいって。

・「赤い世界が消える頃」この歌単純に好き。よい。

・「星屑のシンフォニア」は左側でべいと野村が並んで歌っていてですね、それを見てふいに涙がこみ上げてきてちょっとやばかった。思ったより私の中でだれらじの存在がでかいということを思い知った一曲。野村とべいはMCでもだれらじテンションで喋れていて良かったと思います。周りを見て気を使えて人のために泣けてちょっとうるさい野村人格者だなって。

・雨音のSEからのシークレットで「Flooding」。聞ける日を待ってた。まっすぐな声が重なることで歌声がただただ強くなる感じ、最高にクレシェンドブルーだなって。

・「Starry Melody」2曲目から既に醸し出される大団円感に、これは今日はやばいぞ? って。

・「Heart♡・デイズ・Night☆」茜ちゃんは本当に茜ちゃんで唯一無二だなと。

・役者としての稲川英里が大神環を決して外さないのは凄いと思います。「ホップ♪ステップ♪レインボウ♪」はもちろん、「ジレるハートに火をつけて」みたいな環とはイメージが外れる曲でも、声と表情で常に環を表現しているのがヤバい。

・もちょは相変わらず全てがハイクオリティで「トキメキの音符になって 」も良かったのですが、とにかく最後のMCで感動しました。めっちゃ良いこと言っていた。

緊張しないと言っていたもちょが、緊張するようになって、リーダーのプレッシャーも経験して、そしてまた緊張しなくなったと言っているのが尊かった。ああ、もちょが人間になったと。

・「リフレインキス」これはめっちゃ好きな曲。しかしもう雨宮天上田麗奈も表情がちょっといけませんねこれは……。

・「フェスタ・イルミネーション」これもめっちゃ好きな曲。諏訪彩花はまつり姫をいつも高次元で表現していて素晴らしいと思います。手が長いのでステージ上の動きも映える。

・「素敵なキセキ」自由に動ける権限がこの人にしかないのかもしれないのですが、とにかくステージの使い方や客席への煽り含めたステージングが一人別次元。山崎はるかすげえなって。あとPが歌うパートが増えていく。

・「ハッピ~ エフェクト!」宮尾美也はこれなんですよって曲を、ちょうちょさんがすごく大事に歌っていて素晴らしかったです。ふわふわした曲なのですが、最後のところで抑えきれない熱がこもっていく感じ、ぞくぞくしました。

・「dear...」のイントロであれだけ沸く辺り愛された曲なんだなあって。高橋未奈美も歌上手い。あと髪の色と髪型をこのみさんに合わせてきたの、やっぱいいなって。

・最高of最高以外の語彙力を失った「Sweet Sweet Soul」。楽しい。楽しすぎるやばい。フリースタイルラップもばっちり。

上田麗奈が完全に高坂海美を降ろしきっていた「恋愛ロードランナー」。ずっとうえしゃまはシャーマンだと言い続けてきましたが、本当にねえ。稲川プロが役者だとするとうえしゃまはシャーマンなんですよ。なるべくしてこういう仕事をしているというか、ちょっと生きているレイヤーが違うというか。

・「Up!10sion♪Pleeeeeeeeease!」テンション上がるヤバい。というか3日目のセトリが私を殺すやつだってことに薄々気が付き始める。

・ちょっと柔らかさの見える「ライアー・ルージュ」。これも劇場版を経た志保さんなのかなって。

・「メメント?モメント♪ルルルルル☆」BPMが早い。楽しい。

・「俠気乱舞」これも大好きな曲なんですよ。愛美がイケメンすぎた。死ぬ。

・「ジャングル☆パーティー」うんばばあああああああ!!! ちのうをうしなった。

・「little trip around the world」かわいい

・「PRETTY DREAMER」つよい

・「瞳の中のシリウス尊い

・「ジレるハートに火をつけて」これも大好きな曲なんですが、この日は感想の台詞の部分、そして藤井ゆきよのMCですよ。5人の灼熱少女。それに尽きる。

・「君との明日を願うから 」あまり凝った演出を入れてこないミリオンが、ゲッサンの物語を完全に踏まえて持ってきたこれ。結果、集大成の武道館という意味を一番抱えた曲になりました。そしてユニットトリ曲、信号機によるここまでのミリオンの総括でもあって。なんかシンデレラ3rdとかμ's3rdとか、ああいうのを見てる気持ちになって、そうだよこういうのなんだよって泣いてた。

・「Brand New Theater!」初出し新曲なのに曲開始数秒での「いぇえええええい」が完璧にそろうプロデューサーに戦慄。

・次のステージを見せた後での「Dreaming! 」。そうだよ現在進行系なんだよ今まさに夢を見ているんだよっていうのがあって、この3日間でも最高の「Dreaming! 」になっていたと思います。私たちがミリオンスターズです! に誇らしさが滲んだように聞こえた。

・36人の「Thank You!」までは想像してた。だからぞろぞろと出てきた時もやっぱりやるのかと思った。でも3Dモデルで琴葉が踊るというシンデレラしかやらないだろうと思ってた演出をここで入れてきたのは不意打ち過ぎました。演出を絞って絞ってきたからこその一撃だった……。こんな37人の武道館見せられたら、ミリオン最高かよ……以外の言葉を失いますよね。

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 4thLIVE TH@NK YOU for SMILE!! 3/11・12・13 @ 日本武道館 その1

THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 01 Sunshine Rhythm

THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 01 Sunshine Rhythm

 

 

 

 まず誤解していたなと思うことがあって、これは3日間3公演のライブではなく、ミリオン37人全員出演の武道館1公演を、そのままだと長過ぎるから3日に分けてやっただけだったんだと。

というのも、1日目2日目と良かったけど足りないというか、見たいものを見れなかったなと思うところがどうにもあったのです。でも、3日目にそれが全部入りでやってきて収束して、もしかしてこれは最初からそういう構成の1つのライブだったんじゃないかと思ったのです。それならもういっそ3日通しチケット売ろうよと思わなくもないですが!

ただ、その過程で自分がアイマスのライブに何を見に来ていているのかが改めて自覚できたという副産物があって、それはそれで良かったです。

 

アイマスって今これだけ広がっている押しも押されぬ人気コンテンツなのに、凄く内向きの力が強いというか、外に広く知らしめよう! みたいな方向じゃなくて、如何に中心に迫っていけるかみたいなものを大事にしているという気がします。キャラクターと物語という形のない概念が軸にあって、そこにキャストとスタッフとファン(プロデューサー)の熱意が織り込まれるようにして建てられた象牙の塔。良い意味でも悪い意味でも宗教的な類のコンテンツというか、皆が皆愛が重いというか、入れ込みが激しいというか。ただ、その時につんのめってしまう程の前のめりな気持ちが積み重なって、結果熱狂的としか言いようのないものが生まれる。ライブは祭儀であって、それが爆発する場なんだなと。

だから歌やダンスといった曲のパフォーマンスはもちろん、ライブは他の要素からも構成されているのだと思います。以前は人数が多いと流石に長いのではないかと思っていたキャスト全員の挨拶MCも今は決して欠かせないものだと思うし、新情報の発表もまさにそう。ガミPが登壇する=何か大きな発表があるからの新アプリ発表、そして初公開の4周年記念PVの上映。キャラクター1人1人が登場するたびに上がる歓声、そして765ASの面々が映った時の大歓声。あのライブ感、高揚感、熱狂はやっぱりあの場でしか味わえないし、それを生み出しているのはキャストとスタッフとファン(プロデューサー)の気持ちな訳で。本当に思い入れのコンテンツなんだと思うし、それがアイマスアイマスでしか無いものにしているのだと思います。

アイマスのライブを見に来る人は声優の単独ライブや他のライブにあまり来ないみたいな話を時折耳にすることがあるのですが、これたぶんライブを見に来てるんじゃなくてアイマスを見に来てるんですよね。それはきっと明確に別のものであって。

 

それで、そういう思い入れのコンテンツだからやっぱり祭儀にはテーマ性が大事な訳で。積み重ねてきたものを点と線で結ぶような意味を、そういう物語を個人的には求めてしまうのです。それはアイマスの中では個のアーティストとしてのパフォーマンスに一番フォーカスしているだろうミリオンでも同じで、なので1日目2日目はちょっと物足りない感じがありました。手作りの「ぶどーかん」ってミリオンにとってもっと意味のあるもののはずで、割とするっとライブに入ってするっと終わっていったことに肩透かしというか。これまでの歩みを開演前煽りVTRで流すくらいの過剰な集大成感があっても良いんじゃないかと、入れ込み過ぎてやりすぎなくらいがむしろらしいんじゃないと。

ミリオンは演出が凄くシンプルでアーティストとしてのパフォーマンスで魅せるものだとは思っていて、それは演出で誰もをシンデレラガールズにしてしまうシンデレラとは別の方向性だと思うのですが、それにしても、みたいな。もちろんミリオンは個人の力も曲の力もやたらと強くて、実際私が転んだのもそれを1st中野で目の当たりにしたからですし、更に成長した今回も本当に本当に素晴らしかったと思います。でも、それにしてもメンバー間での差はある訳で。膂力だけで勝負すると、流石にこれまでの周年ライブ、合同ライブ、そして個人名義の活動といった場数を踏んでいる数が段違いの人と、3rdで始めて大舞台を踏みましたという人では条件が違いすぎるというのを、全員出演だと感じるところはあって。それを埋めるアイマスの力が、個人的には思い入れだったり、入れ込みだったり、そういう部分だと思うので、もうちょっと「ついにこの武道館で全員揃ったライブをすること」を推して良いんじゃないかなと。

そう、思っていたのですよ2日目までは。

 

まあ、やりやがったと思いますよね。種田梨沙が出られないことまで込みでの36人+1人による「Thank you!」での手づくりの「ぶどーかん」! 大合唱も、4人であっても5人なのだと高らかに宣言した灼熱少女の「ジレるハートに火をつけて」も、3rdの「アイル」、2日目の「flooding」を経たゲッサンミリオンのストーリーの総仕上げである「君との明日を願うから」も。特にゲッサンミリオンを踏まえての「君との明日を願うから」は、ああ私はやっぱり、こういう虚構と現実の上に何かが見える瞬間が好きなんだよなと。

そして集大成であることを踏まえて次のステージへ続く新発表。新曲、新アプリ、周年PV。特に50人の765MILLIONSTARSという次のステージが垣間見えていたのは、いつかはと想像はしていても、今ここでその刀を抜いてきたかと震えます。PVの中にあった50人による3daysライブ@SSA、いつか機が熟したらやりますよね? 期待して良いんですよね?

そしてミリオンにはまだ37人の武道館という忘れ物もあるわけで、物語はまだ続いていく。ここが集大成だと思っていた今回のライブの先にも、まだまだ追いかけていかなくちゃいけない、見逃せない瞬間が待っているんだなと嬉しく思います。終わってみれば、本当に良いライブで、本当に良いアイマスでした。

 

個別の曲やキャストの感想は長くなりすぎるので別エントリで。

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