3月のライオン 14 / 羽海野チカ

 

 羽海野チカのマンガは、感情の密度というか、濃度が凄いと、いつも読んで思います。この巻は、これまであった大変なことを経て、その先に確かにこの日々があるのだと感じさせてくれる、優しくて暖かい、そして楽しい話が主なのですが、それすらも圧を感じるというか。救われろ、報われろという、祈りというよりも狂信に近いなにか、みたいな。

中身的にはあかり周りの恋愛関係に至っていない三角と、零とひなのお話。とにかくみんな良い人で幸せになってくれという気持ちです。しかしこうすっかり子供っぽく描かれているなあと思っていたひなが作中でも小学生呼ばわりされていて笑っていたら、最後の話とかもうね。そして、ひなも零も、学校が楽しくて嬉しいだなんて、ちょっと前までの話を考えたら本当に、本当に。

あとハチクロのキャラたちが出てきて思わず叫びました。アマ将棋大会への参加で、ゴリラにすり潰される真山には笑いましたが、会話の中ですがはぐやあゆの元気な姿が見れてなんかもう胸いっぱいですね……。しかし対戦相手になった零の学校の先生たち個性を煮詰めたみたいな濃さで凄い。