トリックスターズ / 久住四季

トリックスターズ (電撃文庫)

トリックスターズ (電撃文庫)

面白かったです。良作良作。
魔術師と学園とトリックスターと詐欺の物語。舞台は現代の日本で、魔術がマイナーな学問として存在するような世界で、日本で唯一の大学の魔学部に入学したぼくの一人称で語られるラノベとミステリーのあいのこみたいな話でした。その魔学部に世界で6人しかいない魔術師の一人佐杏冴奈が教員としてやってきて、ぼくは変な縁で彼女のゼミにいれられっていうような感じで、怪放送による殺人予告、魔術師の影、崩壊する関係、密室、そして殺人事件みたいな流れ。
西尾維新っぽいっていうのをどこか感じて、前半の感じとかはクビシメを想起したのですが、後半に行くにしたがってちゃんと別物で安心。どうにも類型的な女の子キャラクターが何か表層的な感じの完結した幸せな日常をやってるっていうのが、事件から世界が崩壊に向かうっていう流れかなと思ったのが、後半が違ったと。諦観まみれのぼくの性格の理由も、ちゃんと事件の本筋に関係あるところで明らかになりますし。
ミステリ的な部分ではビックリするってほどのことはなかっったですが、いい感じではありました。二段オチの一段目は何となくそう導かれてる感じでこれは罠だなぁと思いましたが、二段目は予想つかず。6つ目までのトリックは分かる訳ないと思いつつも、ちゃんとヒントも散らばってるし納得。ただ、7つめのトリックはあまりに物語の本筋と関係がなさ過ぎる気がしました。確かに騙されましたけど。キャラクターは佐杏先生が実に魅力的。性格もポジションもまさしく超越者でした。
文章も構成も上手だし、雰囲気も良いのでこの人の次の作品も読みたいです。クロウリー関係の話が完結してない以上続編は出るのかもしれませんが、反則能力の持ち主がいる以上ミステリとしてはかなり難しい気が。でもそれを外すと超能力バトルものになりそうですし。それと読んでてすごく今っぽさを感じて、この作者の人はきっと若いんだろうなぁと思ってたら、82年生まれということでやっぱり若かったです。なんか納得。
後はイラストが良かったです。綺麗だし私の好み。ぼくのイラストも見てみたかった。
満足度:A-