偽物語 下巻 / 西尾維新

偽物語(下) (講談社BOX)

偽物語(下) (講談社BOX)

「義理の妹なんざ――萌えるだけだろうがあ!」

アニメ化目前で盛り上がりを見せている「物語」シリーズ最新作。
当初からストーリーよりキャラクターの掛け合い重視のシリーズではありましたが、今回は物語が動き出すのがページ数的に2/3辺りと、もはやここまでくると清々しいほどに物語性の薄い作品になっています。
そういう意味では引き延ばし中のジャンプマンガのような感もありつつ、でも西尾維新の創りだすキャラクターの魅力と掛け合いの楽しさが、そのグダグダをそれはそれで良いかなと思わせるという不思議な小説です。
たださすがに暴走が過ぎると言うか、無為にページ数だけが増えている気のする文章のグダグダ具合とか、もはやこれまでとは別物化しつつあるキャラクターとか、人気作家がこれで大丈夫なのか的留まるところを知らない変態具合とかに、200%趣味で書かれた小説の真骨頂を見たと言うか何というか。
特に変態具合はこれまでのシリーズでも屈指の水準。小説を読み終わって印象に残っているのが、妹との歯ブラシプレイ、妹の胸を揉んでいる主人公、どう考えてもロリコンな主人公の八九寺への想い、の3点な辺りで色々と危険を感じます。ごくごく自然に妹の唇を奪う全てにおいて斜め上な阿良々木さんの変態さ加減に脱帽。
とはいえ、メインとなる掛け合い漫才な部分の面白さはさすがの一言。特に阿良々木と八九寺の掛け合いは、相変わらず読んでいて思わず吹くような感じ。アニメ化にはしゃいじゃった系なメタネタ乱発も面白かったです。
というわけで、アニメのEDで果たしてどんなダンスが見られるのかに期待しつつ、まさかの延長戦で八九寺の話になるという傾物語を待ちたいと思います。