絶園のテンペスト 6 / 城平京・左有秀・彩崎廉

絶園のテンペスト(6) (ガンガンコミックス)

絶園のテンペスト(6) (ガンガンコミックス)

まさかのアニメ化が決定した絶園のテンペスト6巻。世界の存亡すら賭けたそれぞれの思惑が大真面目に交差しているのに表面上起こっていることはどこかぬけている不思議な印象のまま、物語がクライマックスに近づいている予感はひしひしと感じられます。この掴みどころのなさ、回りくどさに隠されて、本質がつかめない感じは読んでいてモヤモヤとするのですが、その先の読めなさがまた面白くもあったり。
という訳で大の男が揃って吉野の彼女を予想したり、絶園の魔法使いに対抗するかのように姫様が現れたりと、誰も彼も何を考えているのかわからないけれどきっと彼らの目的と情報の中では最適行動を取っているのだろうという感じ。誰がどこまで何を読んでいて、いったいこの大きな流れは誰によって仕組まれたものなのか、そしてそれは絶園の魔法使いによる仕組みなのか、全ての中心に残り続ける愛花殺害の犯人は誰なのか。全てを掴ませないままに、最後の最後で浮かび上がった一つの可能性はまた、物語の根本を揺るがしかねないもので。
この屁理屈にも近いロジックで読者も登場人物も翻弄していく面白さはまさに城平京作品の醍醐味。そしてその真骨頂であるここからの大どんでん返しに期待しつつ続きを待ちたいと思います。