2012年の10作(小説)

年も明けましたが、去年のまとめということで。
ちなみに読了数は86冊。例年比で約30冊減なのですが、心当たりが、どう考えてもモバマスという……これは………。

BEATLESS / 長谷敏司

BEATLESS

BEATLESS

今この時代から描く人とモノのボーイ・ミーツ・ガール。是非アニメで見てみたいエンタメとしての面白さがあって、それ以上に読み手に人とは何かを否応なく考えさせるような作品でした。もう凄かったとしか。
BEATLESS / 長谷敏司 - FULL MOON PRAYER

無花果とムーン / 桜庭一樹

無花果とムーン

無花果とムーン

桜庭一樹の描いた少女の物語。そして、これは大人たちの手が届いた物語。だから、砂糖菓子にかけられた呪いは、これでようやく解けたんだなあと。
無花果とムーン / 桜庭一樹 - FULL MOON PRAYER

独創短編シリーズ 野崎まど劇場

天下の電撃で、いや天下の電撃だからこんなことが許されるのかと驚く、ライトノベルの極北のようなショートショート集。反則スレスレからさらに明後日へ突き抜ける突破力がたまりません。ラーメン……味玉………。
独創短編シリーズ 野崎まど劇場 / 野崎まど - FULL MOON PRAYER

なれる!SE 7 目からウロコの?客先常駐術 / 夏海公司

萌えるSE残酷物語から萌えを取り払って、そしてホラーだけが残った……。大赤字デスマーチプロジェクトに呑みこまれ、大企業の入り組んだ社内政治に振り回され、ただただ撤退戦に明け暮れる、胃の痛くなるようなSE小説でした。だが何故だ面白いんだ。
なれる!SE 7 目からウロコの?客先常駐術 / 夏海公司 - FULL MOON PRAYER

南極点のピアピア動画 / 野尻抱介

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

夢と科学とニコ動とミクが好きなすべての人に。もう少しで、あと少しで届くかもしれない(と思わせてくれる)未来のお話。だからこれはお伽話で、けれど私たちに見ることが許された、これが夢の形だと大真面目に思います。
南極点のピアピア動画 / 野尻抱介 - FULL MOON PRAYER

魔法少女育成計画 restart / 遠藤浅蜊

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (前) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 restart (後) (このライトノベルがすごい! 文庫)

最低に悪趣味な、魔法少女たちのデス・ゲーム。そのゲームは意味すら揺らいでいて、けれどそこで否応もなく生きて死ななければならない魔法少女たち。積み上げたものを計算された雑さで崩すカタルシスが大好きです。
魔法少女育成計画 restart(前) / 遠藤浅蜊 - FULL MOON PRAYER
魔法少女育成計画 restart (後) / 遠藤浅蜊 - FULL MOON PRAYER

ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 / 美奈川護

挫折したバイオリニストの青年と、車椅子の天才指揮者と、職匠歌人たちのアマチュアオケ。描かれてきた物語がひとつの形を現した時高らかに響いたその演奏が、小説で音楽を鳴すことができるのだということを教えてくれました。素晴らしかった。
ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 / 美奈川護 - FULL MOON PRAYER

ささみさん@がんばらない 9 / 日日日

ささみさん@がんばらない〈9〉 (ガガガ文庫)

ささみさん@がんばらない〈9〉 (ガガガ文庫)

インド神話の最高神であるヴィシュヌは破壊神シヴァに転じて、何を祈り、何を求めたのか。大きすぎるものを背負った少女たちはがんばってがんばってぼろぼろになって、そしてその先にある救いは、きっと側に誰かがいてくれる、そんなありふれたことなんだろうなと。
ささみさん@がんばらない 9 / 日日日 - FULL MOON PRAYER

オカルトリック 02 / 大間九郎

オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)

オカルトリック 02 (このライトノベルがすごい! 文庫)

メチャクチャで破綻しそうな物語が一本に繋がった時に、ここにあったのはただ愛の物語で、そのシンプルな強さに思わず、うわ何だこれすげえとしか言えなくなるような、何か。
オカルトリック 02 / 大間九郎 - FULL MOON PRAYER

大日本サムライガール 1 / 至道流星

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

大日本サムライガール 1 (星海社FICTIONS)

右翼活動家の美少女をアイドルプロデュースという飛び道具系のネタをしっかり描けるのはさすがにこの作者といった感じの一冊。マスメディア戦略にプロダクション経営にと楽しんでいたら、3巻ではついに革命への準備が整って、この物語がどこまで跳べるのか楽しみです。
大日本サムライガール 1 / 至道流星 - FULL MOON PRAYER



そんな感じで2012年でした。
次点としては「サエズリ図書館のワルツさん」と「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」を。