1518!イチゴーイチハチ! 4 / 相田裕

 

 帯に「夢を諦めるところから始まる物語」と書いてあるのですが、この作品は1巻からずっとそういう話を続けてきていて、やっぱりそれが最高に好きです。

4巻はここまでの集大成というか、一区切り的な話なのですが、クライマックスというには地味で、彼ら彼女らはもう表舞台で輝く訳ではなくて、それでも確かにこれらは彼らの人生における特別な時間。肘の故障で続けられなくなった野球に、生徒会からの応援団の手伝いという形で向き合う烏谷の吹っ切れた姿に、男子の中で野球を続けることを諦めた会長が、それでも野球が好きだと女子野球を目指す決意をする姿に、夢破れた者たちがこの生徒会で過ごした時間は無駄ではなかったんだなと思いました。

そしてやっぱり最後のシーン。昔の彼の姿に憧れていた子供に対して、今の彼が投じられる最高の一球。そして自分の姿を追ってくる子にかけた言葉。それはまた、彼自身にとってもけじめであって、またそれを見ていた周りの人達にとっても一つの区切りになったのだと思います。確かに甲子園やそこを目指す大舞台でエースが投げるボールではなかったけれど、鳥肌が立つような、特別な時間を切り取ったシーン。すべてを賭けてきた夢が終わったその先に、こんなに清々しく、美しく、少し寂しさのある景色が続いている。本当に素敵な作品だと思いました。思いっきり泣いてしまった……。