とある魔術の禁書目録 6 / 鎌池和馬・近木野中哉

「俺達がどンなに腐っていてもよォ、どうしようもねェ人間のクズだったとしても、このガキが見殺しにされて良い理由にはなンねェだろォが!!!」

一方通行と打ち止めの出会いを描いた第6巻。
レベル6へと至るための実験を当麻に止められたことで何かが変わり始めていた一歩通行と、彼が殺し続けた妹達の最後の個体打ち止めの出会い。強すぎる力が故に周りを傷つけ、周りから疎まれ、それ故に誰も近づいてこないほどの力を求めていた一方通行。孤独と壊すことしか知らなかった彼が、一切の裏もなく無邪気に近づいてくる打ち止めを救おうと、自分の力を救うことで使えるんだと示す物語。
数え切れない殺戮を重ねてきた彼が、たった一人の少女を救うために死力を尽くし、そのことを通じて変わっていく。これまでまるで心の感じられなかった存在の見せる感情、強さと弱さ。王道すぎるほどに王道なストーリーを真正面から描ききって、そしてこの熱量があれば、それはもうグッとくるに決まっているじゃないかという感じです。
購いきれないほどの罪を抱え、それでもこの無邪気な少女を守るのだと彼が決めたこと。その代償は大きく、この先に彼らが歩む道が平坦でありえるはずもなく、それでもこの二人の行く末を見てみたいと思わせる。そんな一冊でした。面白かったです。