- 作者: 砂義出雲,瑠奈璃亜
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/07/20
- メディア: 文庫
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日本海裂頭条虫のパラシスタンスであるサナに寄生された高校生男子唐人の話で、唐人のお腹からサナダムシ状の物体が出てきて人形となるプロローグからして出オチ系感にあふれていますが、その先もなかなか面白かったです。なかなかに強烈なキャラクターたちによる軽快な会話のかけあいは魅力的で思わず読んでいて笑ってしまうような感じ。時折織りまぜてくるネットネタ的なものも主張しすぎないでクスリとさせてくれます。
本体は唐人の腸内にいて、分体が外に出て活動するという寄生虫設定は、よく考えればいろいろおかしいとは分かっていても、「宿主にとって都合の良い姿形になる」というのが寄生虫的に理にかなっている様な気がして、なんだか納得させられそうになる辺りが巧妙だと思います。確かに、宿主が殺し辛い姿形で、宿主と意思疎通可能な存在として目の前に現れるというのは生き残るためには正しい……ような気が。
話的には後半からシリアス展開へ。テーマ的には寄生と共生とか、傷つかないために臆病になっていた主人公が少し変わる話であったりとかするのですが、ちょっと都合の良すぎる感じも。個人的には、サナが共生可能なパラシスタンスだったからこそこの結論であって、もしもこの姿形でこの性格で、けれど唐人にとってもっと明確に害なす存在だったら一体どうするつもりだったのだろうなというところが引っかかりました。
キャラクター的には、好奇心旺盛で暴走気味なサナよりも、従妹の桜の強烈さが印象に残りました。いわゆる主人公に迫ってくる系ヒロインなのですが、時にネジが飛んで唐人に迫りまくる様子は限りなく痴女というか、一線超えてしまっていて危険です。というかさすがに引くレベル。そのおかげで、キャラはとても立ってはいてある意味魅力があるのですが!