魔法少女育成計画 / 遠藤浅蜊

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔法少女育成計画というソーシャルゲーム参加者から数万人に一人の割合で選ばれる、本物の魔法少女。そして始まったのは、16人の魔法少女による苛烈なサバイバルで、という作品。
脱落が死を意味して、文字通り他の魔法少女を駆逐することで自分の命が守られると分かった時、普通の人よりも強い力を持った彼女たちが選んだのは当たり前のように殺し合いで、その様子がひたすら淡々と描かれていくような話。イラストが実に良くて魔法少女たちのポップでファンシーな姿が念頭にあるので、そんな彼女たちが命をかけて闘う姿とのギャップが良い悪趣味になっていました。
キャラクターに深く入り込む暇もなく死んでしまうような勢いでサクサクと減っていく魔法少女。特別ではない少女たちが魔法少女という理想の自分と力を手にしたからこそのどうしようもない愚かさは、もうただただ愚かなばかりで、それぞれの事情は垣間見えるものの、救いようもなく、本当にどうしようもなく死んでいきます。キャラクター自体は魅力的ではあって、展開も十分に面白くて、でもそれ以上のものを感じさせないこの薄っぺらさというか、空虚さというか、最後まで読み終わってもとびきりキュートで悪趣味なものを読んだという感想以外何も残らない、ある意味の清々しさがありました。
ラストまで、何も救わず、誰も救われず、このゲームを仕掛けた黒幕はただのクズとしか言い様がなく、残された魔法少女が至ってしまった結論も笑っちゃうくらいに救えない、空っぽの物語であったと思います。そんなところもここまで割り切れていれば、これはこれで好き。ただ、決して何冊も続けて読みたいタイプの本ではありませんが。