百合星人ナオコサン 1巻 / kashmir

百合星人ナオコサン (1) (Dengeki Comics EX)

百合星人ナオコサン (1) (Dengeki Comics EX)

これは凄い。そして酷い。
同作者の○本の住人も相当奇怪なマンガでしたけど、そんな比じゃありません。あれでもずいぶん抑えていたんだなと思わずにはいられない凄まじさ。なにはともあれ幼女が好きなことだけは激しく伝わってきます。
オタネタを過剰に詰め込んで、ついてこれない人のことなど光の彼方へ忘れ去り、あと下ネタ全開で幼女に幼女。ショートのギャグマンガで、展開は極めてシュール。下ネタと意味不明かつ強引な展開を、独特のセンスで引っ張りまくります。○本で言うところのちーちゃんがメインで話を引っ張る感じ。苺ましまろで言うと美羽が常に話を引っ張る感じ。これがまた面白いから困ってしまう。この発想力は恐ろしいものがあります。
ただ、間口が狭いというか、分かる人にしか分からないネタも多く、全体的なセンスがオタクっぽいので、オタク系の文化に理解のある人でないと楽しめないかもしれません。オタクをネタにして一般人に向けたマンガではなく、ただちょっと何かしらがオタクっぽいマンガですらありません。
MOSAIC.WAVの主題歌はいかにもアニメ主題歌になりそうでツボを抑えた作り。電波風味。この人たちが偉いのは、きちんと原作の内容を消化した上で曲を作ることだと思います。歌詞がぶっ飛んでいつつ、しっかり原作が反映されています。他の楽曲を知らない人はどう思ったか知りませんが、○×計画では抑えてるなぁと思ったので、この楽曲の全開っぷりは素晴らしいと思いました。挿入歌の方はなんかもうノーコメントで。こんなに集中的にようじょっていう単語を聞いたのは初めてです……。
このマンガって人様には読んでいることを知られたく無いくらいにどう考えても病的な内容だと思うのですが、その病的な部分をギャグのネタにしてしまうという部分に貪欲さとある種の行き詰まりを感じました。何をどうしたってこんなに作中で幼女幼女言っている以上ロリコンマンガなのは確かです。そして幼女をネタにする以上主人公が男だと犯罪の匂いしかしないわけで、ナオコサンは百合星人となります。最低限のモラルを確保した上でロリコン空間を成立させるには、百合漫画ですらないのに百合概念の導入が必要だというのがなんかもう息の詰まる感じ。MOSAIC.WAVが「ちっちゃいオンナのコは大好きですが/百合星人なのでなんにも問題ありません」と歌ってるのが逆説的です。ある種ロリコンの最終形態であり、それを自虐的にネタ化してるのがなんとも。いったいこの業界はどこに行くんでしょうか……。
満足度:A