ひぐらしのなく頃に 暇潰し編 1,2巻 / 竜騎士07・外海良基

ひぐらし問題編最終章。
昭和58年の雛見沢という今まで繰り返された惨劇の舞台を離れ、昭和53年の雛見沢を舞台に公安から建設大臣の孫の誘拐事件の捜査のために送り込まれた青年赤坂の視点で物語が進みます。
前原圭一という今までの視点を離れることで、雛見沢という場所のことがより広く見えてくるという感じ。そして何より、古手梨花という少女の抱えた謎が明かされます。作品全体の持った構造が見えて、なるほどと思うことしきり。
それにしても、赤坂はカッコ良い青年です。若さゆえの甘さがあって、決して強いわけではなくて、それでも真っすぐなところが素敵。まぁ、若干ロリコンの気があるような気もしますが。地元の警官としてコンビを組む大石も、圭一からの視点で描かれていたのとはうって変わって、事件を真剣に探るプロフェッショナルな警官という感じ。赤坂をフォローする辺りなんかベテランの味を見せていて、なんだかいいコンビだと思いました。そしてあのラストまで、この2人、カッコ良すぎです。爽やかに熱い感じ。
この二人を中心とした描写は鬼隠し〜祟殺しでの装飾過多気味なキャラクターの日常描写よりもむしろ自然で、本来この人はこっちの作風の方が得意なのかなと思ったりも。

以下ネタばれありで。
事件そのものに関しては、雛見沢という土地の異様さを強調していたような感じ。むしろメインは、ひぐらしという作品の構造が示されていたことでしょう。恐らくですが、いわゆるループものではないかと。惨劇を繰り返すループの中から未来を手にするための物語という感じ。惨劇という事件を解決するミステリではなく、どちらかというと惨劇の発生を予防する話みたいな。
確証があるわけではないですが、起こってしまった惨劇の中から成功のための鍵を見つけ出して、次は失敗しないようにするという構造に思えます。そうだとすれば、またえらくゲーム的な構造です。例えば「昭和58年に赤坂が雛見沢にいる」が条件①とか、そういう感じの条件をそろえるゲーム。
ループの中心は梨花のようですが、その辺りがどういう仕組みでそうなっているのかはさっぱり分からず。ループだと考えると最後の部分でその後が描かれている(祟殺し編の後の世界?)のも良く分からないし、根幹部分の謎はからきし。
という訳で、早い所解決編が読みたいのですが、マンガはまだ出揃ってないのですね……。