おおきく振りかぶって 10巻 / ひぐちアサ

おおきく振りかぶって(10) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(10) (アフタヌーンKC)

試合の重要度やイベントの大きさだけじゃなくて、このマンガはそれに取り組んでいるキャラクターたちの姿にこそ魅力があるんだなと感じさせる10巻。
試合自体は強豪校相手でもなく、割とすんなりと西浦が勝っていくような展開なのですが、その中でも西浦の選手一人一人にドラマがあって、相手校の選手たちにもドラマがある、そう感じさせてくれるのがこのマンガの素敵なところ。純粋に、高校野球って良いなと思わせる魅力があります。
その中でも今回の注目ポイントは花井。田島という絶対的な軸のいるチームにあってNo.2の立場にいる彼が、田島が怪我をしている現状の中で何を考えるのか。飛び抜けた才能があることは誰もが認める田島という選手を意識させていこうというモモカンの方針は厳しいものだとは思いますが、いわゆる秀才タイプである花井がその存在にどう向き合っていくのか。No.2で終わらないために、田島と競い合っていけるのか。
色々考えて、迷って、そして答えを見つけていくタイプだからこその感情移入のしやすさがあって、この花井の物語は結構好き。この先も花井にとって田島という存在は大きなものとなっていくのでしょうけど、あきらめないで是非頑張ってもらいたいなぁと、そんなことを思いました。