おおきく振りかぶって 8巻 / ひぐちアサ

おおきく振りかぶって(8) (アフタヌーンKC)

おおきく振りかぶって(8) (アフタヌーンKC)

アニメが原作に忠実な出来で、しっかりと面白さを発揮しているおお振りのお待たせな感じの第8巻。
試合は桐青戦クライマックス。試合全体でここが見せ場というのはあるのですが、このマンガの場合一人一人の一打席一打席が見せ場と言う感じです。冗長になるという欠点はある描き方なのでしょうけど、その分生まれてくる密度とか熱気とかそういうものは段違い。田島の打席、三橋の限界、そして花井のバックホームと畳み掛けるような展開に引っ張り込まれます。その性格が中学時代の問題を呼び込んでいたとはいえ、あの状況で、あの言葉を浴びて、それでもマウンドに立ち続ける三橋。ウザいのは間違いないキャラクターではあるのですが、こういうところを描かれるとやっぱり凄いと思います。
そして後半は試合後の話。マウンドに立ち続けたことで怒られると怯える三橋とチームメイトの会話の微妙な噛みあわなさが、本人達は真剣でもなんだか面白い。そしてその後のメールを打つシーンにうるっとさせられました。「野球をやる」ということの意味を知った三橋がこれからどう変わっていくのか、楽しみです。
満足度:A-