花と奥たん 2 / 高橋しん

花と奥たん 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

花と奥たん 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

東京に大きな花が咲いて異形の森となり、人々は街を捨てて逃げて。そんな中で、家を守って旦那の帰りを待ち続ける残され主婦たち。そんな奥たんの毎日を描いた作品の2巻、なのですが、正直この2巻が出るまでの間に、マンガを現実が追い越したというか、多分そういう類のものなんだろうと思っていたことが本当に起きてしまって、読むのが難しくなってしまったような気がする一冊でもあります。
ご飯を作って、ご飯を食べて、そうやって止まることなく繰り返して、待ち続ける、家を守る、人との繋がり、当たり前の生活。それは美味しそうで、奥たんが笑えば、周りの主婦たちが前向きに物事を考えれば、それは良い、人間らしい生活であるとも言えるのですが、そんなに単純な訳ではなくて。街を去っていく人はたくさん居て、周りにある生き物や植物は明らかに異常を見せていて、どこかでこの花と人間はずっと闘い続けていて、たぶんもうこの地域は長くないし、もしかしたら世界が長くない。
そんな中で料理を作って食べるという当たり前の象徴のように生きる奥たんは、たぶん当たり前なんかじゃなくて異常の象徴でもあって、そういう極端さをこの状況の中心において周りの主婦や客観的に物事を見る学者と話をさせることで、何かが浮かび上がってくるようで、けれどそれをどうこうというつもりはない、そんな作品なんだろうと思いました。