砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない / 桜庭一樹

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

読み終わった後でしばらくボーっとしてしまったのは、何も微熱のせいだけではないでしょう。あぁ、なんかそんな感じだなぁ、と思うこと仕切りだった本。解説によると青春暗黒ミステリーだそうです。
同じ桜庭作品でもGOSICKとは全然印象がちがって、推定少女に近いです。限りなく繊細で、透明で、それでいて濁った、思春期少女の心。奇妙なシンクロ感と言葉にし難い気持ちの悪さ。推定少女よりも話の筋はきっちり地に付いていますが、それでもどこかフワフワしている感はぬぐえません。嘘、不安定、異常、虐待、心もとなさ。内容は、なんというか、なんと言っていいのか分からないんですが、何となく惹かれるものがあります。なにか印象的。面白いとはまた違った、引き付けられる本でした。個人的には、傑作だといってもいい気がします。一般受けするかは知らないですが。
ただ、このイラストはちょっと。好みじゃないというのもありますが、イメージに合って無い気がしました。
砂糖菓子の弾丸を撃つ。
砂糖菓子の弾丸しか撃てない。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
つまりはそういうこと。
現実は真実以上に現実。闘うために必要なのは実弾。実弾を撃てなくちゃならない。たとえ、それがすべてでではなくても。