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後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール2 / 石川博品

感想 ☆☆☆☆☆

最高に面白かったけどまあ(売れないだろうし)続きが出ることはないだろうと思っていた作品に続きが出てこういう帯になっていると、このラノで力強く1位に投票したことも決して無駄ではなかったと胸が熱くなりますね!
という訳でまさかの続刊ですよ続刊。そして素晴らしく面白かったのですが、相変わらずこれを人にどう勧めればいいのかが難しい作品です。
「皇帝を殺すために後宮に男の子が女装して潜入して」
「ほうほう」
「で、野球をするんです」
「野球?」
「後宮の中に12の殿舎があって、身分ごとにリーグが分かれていて」
「????」
みたいな説明になってしまうのが予想できすぎてもう。
後宮があってなんとか皇帝の寵愛を受けようとしている女たちがいて、皇帝がいてその家臣がいて、在野にはその支配を快く思っていない人もいて、治安が悪いところでは野盗も出たりして、まさに王道ファンタジー! みたいな話がちゃんと進んでいるのです。庶民の生活も流行りの文化も描きつつ、先が気になる動きも見えたりして、おおこれはどうなるのかと思わせる部分もあり。そして後宮の中での復讐劇がどこへ向かうのか、香燻が何を思うのかみたいなものもあるのです。
ただまあ、後宮から庶民の暮らしまでおおよそ全ての中心に野球があります。後宮の女達は取り立てられるために本気で野球をします。皇帝の考えが野球にまつわる格言とともに語られちゃったりします。野盗に襲われても野球をしているところに手は出せないからと野球を始めちゃったりします。庶民の間ではプロ野球チップスのカードかというような版画札が大人気です。やっぱり野球がNo.1。白日人にとって野球がすべてだから仕方ない。そしてその野球が中心にある世界がまるで至極当然のことのようにさらさらと紡がれる作者の騙りの旨さが相変わらず素晴らしいなあと。
そして今回は外の出来事も描きつつ、後宮の中の(主に野球をしている)物語も面白かったです。香燻たち3人の移籍してきた万年弱小の浄鏡殿が香の君(常勝軍団旃葉殿のトップ)は私が育てた! と名乗る破天荒な下臈が一気に更衣に上り詰め、負け癖のついたレギュラーを一気にトレードに出してチーム再建に着手という何気に熱い展開。相変わらず分かりやすいのから私にはわからないものまで野球ネタ満載で描かれる、スポ根特訓と試合と血気盛んすぎる乱闘とあと飛び回る噂に落書(スポーツ新聞みたいなもの)が楽しいです。見出しに「蜜芍、仰天要求! 『誠意とはことばや金額ではなく猫』」とかそんなネタはズルい。その中で壁にあたり喧嘩もしながらも成長していく香燻たちの様子も良い感じです。
という訳で、アイマスが好きでやきうが好きな人がホムラジを聞くように、ラノベが好きでやきうが好きな人はみんな買って読めばいいんじゃないかと思います! いっそ読まなくても買うだけでもいいと思います! 私はこの続きが読みたいんだ!!