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東京レイヴンズ 14 / あざの耕平

仕込みに仕込みを重ねてクライマックスにそれが有機的につながって思いもかけないストーリーを描いていく。クライマックスにこの上ない盛り上がりを持ってきた第1部と同じように、第2部もここに来てついに伏せられていた背景が、関係が、キャラクターたちの思惑が絡まりぶつかり、そしてとんでもない盛り上がりと驚きがやってくる500ページ超の一冊でした。凄かった。
ここまで本編で13巻を数えてきただけあってとにかく登場するキャラクターが多くて、またそれぞれにそれぞれの思惑と役割があるためにかなり詰め込み気味で複雑なものになってはいるのですが、何も捨てずにこの事件において起きたことを描いてしまおうという気合と、それを実現できてしまう力はさすがのあざの耕平という感じでした。ああこの局面で彼は、彼女はそう動くのかだとか、彼らは確かにここではこういう手を打ってくるだろうとか、これだけ絡みあった状況の中でそれぞれに納得できる展開でありながら、話として一つの方向に盛り上がっていくというのは、どこから構成すればこんな芸当が成立するのかと。
その中でも印象的だったのは謎の人だった宮地の根本の部分とそこからくる弓削の関係、そして三善との会話。あと滋丘のプロフェッショナルとしての姿勢なども印象に残りました。ただ、そういったそれぞれの見せ場の印象を吹き飛ばすほどのものがあったのがラストの展開。夏目がどうして不完全な状態になったのか、第2部開始からの大きな謎ながらそういうものだろうと思っていた(第1部でもそういう認識で騙されたのに!)部分が、思ってもいなかった方向に繋がっていく、その語りの鮮やかさ。二つの魂、泰山府君の言葉、魂のあり方。これだけ伏線を張られていたのに、完全にその瞬間まで気が付かなかったというか、そことそこなのは分かって満足して、それをああするなんて思ってもみなかった! みたいな。
作者の過去シリーズは読んでいない私ですが、ファンの人に聞いていたあざの作品の魅力というのがレイヴンズの1部、2部でよく分かったように思います。まさに乙種呪術というか、言葉の使い方の巧みな作品だと思います。