MUSIC THEATER 2017 5/28 @ さいたまスーパーアリーナ

SACRA MUSICの立ち上げも含めて、ここ最近さらにアニソンに注力してきている感のあるSMEの、歴史と威信を賭けたようなレーベルフェス。MCは最低限に抑えて5時間20アーティスト53曲出し惜しみなし。全曲アニメタイアップでアニメ映像をバックに流すという演出になっていて、本当に積み上げてきたものの重みでぶん殴るようなライブでした。いやもうとにかくセトリがヤバいヤバい。開幕LiSAから始まってどのアーティストもこれでもかこれでもかと代表曲を畳み掛け、FLOWで前半終了した時点でもうやりきった感すら漂っているのにまだ半分とは。

ソニーのアニソンというと世代的にはいまだにタイアップというイメージが色濃いのですが、そうかもうこんなにアニソンアーティストを輩出して、これだけのアニソンを生み出してきていたのだなと。というか、ことアニソン系アーティストに関しては今一番強いレーベルなんだなと、LiSA、KalafinaClariSと並ぶと改めて感じました。しかしまどマギのOP&EDである「コネクト」から「Magia」に繋がるセットリストは、ここでしか出来ない感じで見れてよかった。

そして最後にシークレットのT.M.Revolution。タイアップが主だった時代から、この人が切り開いた道であり、SMEアニソンの始祖はここなんだなあと、SEEDにるろ剣という世代直撃のセトリを浴びながら思っていました。アニソンだと音楽番組に出れなかったような時代から、気持ち入れて作ってきてるんだよ! からの「HEART OF SWORD」はなんというかズルいですよね、西川のアニキ。 いや本当に。

そんな感じで、ソニーアニソンの魂を感じるような、レーベルカラーの強く出たフェスでとても良かったです。単純に楽しかったし、セトリは強すぎたというのもありますが、それ以上にこのイベントには見る価値があったし、今この時に見れて良かったと心から思います。歴史も重ねてきたものも全然違いますが、なんとなくキンスパを見た時と同じような感慨がありました。

それにしても、SMEとしてのこれまでの集大成であり決意表明であるようなこんなイベント、今年やったら今後どうするんだろうという気も。でも、これだけのメンバーが揃っているのだから、形を変えても毎年続けてほしいなと思ったライブでした。

 

あとは印象的だったところを。

・LiSA、もう格が違うなって感じ。凄く自然体で、それでめっちゃ楽しくてちょっと今のLiSAすごいなって思いました。

さユりの歌声、あの切実さに心を掴まれる感じがほんともう好きです。すごい好き。あと、SSAみたいな大きな会場でも同じように魅力が出せるんだなって。

戸松遥のファンだという訳でもないのですが、「Q&Aリサイタル!」は無敵だなと。ひたすら楽しい。

・FLOWはもう確固たるポジションを築いているなあと。そしてやっぱり盛り上がるし楽しい。「GO!!!」のあとに「風ノ唄」を持ってこられるようになったの強い。

TrySail、本当に大人気声優ユニットという感じの歓声のあがり方で正直ちょっとびっくりしました。めっちゃキてる。そしてパフォーマンス良くなってる。まだまだ人気出そうだなあと思いました。

・AimerとかハニワとかnZkとかパンタシアを持ってこられるところがレーベルの強さだなあと思いました。あとスクリーンでのEGOISTとかシドとかも。

・今まで見たときにはシルエットだったり逆光だったりしていたClariSが仮面舞踏会に進化を遂げていました。あそこまでやればもう大差ないと思うのですが、顔出しはやっぱりNGなのだろうか……。そして他にも妙に顔出しNGの多いSMEって感じが。

娘の家出 6 / 志村貴子

 

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックス)

娘の家出 6 (ヤングジャンプコミックス)

 

 最終巻、だからと言って何かが大きく動いたりするわけでは無く、大きなドラマ(本人たちには一大事でしたが)という感じでもなく、すっと終わった感じではありますが、読み終えてちょっと気分が晴れるようなそんな作品でした。

いやしかし、こういう少年少女の、恋愛だったり友達だったり家庭の事情だったりいじめと不登校だったり、そういうものを描かせたら志村貴子は抜群だと改めて思います。オムニバス形式でキャラクターも多くて、そんなに個々人が印象に残らない。というか正直私は読んでいてあんまり記憶できていなくて、しかも一編一編は説明も台詞も少ないはずなのに、絵なのか言葉なのか間なのか、奥行きがあるというか、そのキャラクターたちが生きていて、そのほんのワンシーンを切り取って描けているという感じがあります。そしてその積み重ねで作品全体としては、この世代の空気を綺麗に掬い取ったみたいになっていて、本当に匠の技だなあと思いました。とても良かったです。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!! 宮城1日目5/13 @ LV

ああ、シンデレラガールズ完成したんだなって。

お城を模して両側に滝(湾曲LED)があるという豪華なステージセットに、ディズニーのパレードでも始まりそうなOvertureにのせて大きな旗を手に演者が行進してくるオープニング演出でもう魔法の世界が出来上がっていて、そこから先は誰が出ても、何を歌ってもシンデレラ。最初の「Shine!!!」でこれはもう大丈夫だと。シンデレラガールズのライブは空間を作るものなんだなと改めて感じると同時に、これが「シンデレラガールズのライブ」なんだなと感じる5th最初の公演でした。

あの空間があれば、演者の図抜けたパフォーマンスだとか、頑張りだとか涙だとか、サプライズ出演だとか、新情報発表だとか、そういう飛び道具はもう前提には必要ないってところまで来たのだと思います。ちゃんと楽しい、それだけのステージと演出と曲が今のシンデレラにはある。だから、あとは安心して演者のキャラクター表現を楽しめばいいし、飛び道具はあればあるだけのプラスアルファになる。

1stの舞浜でver.0.5くらいでお披露目されてから色々と試行錯誤があって、4thのSSAでそれまでのメインメンバーがいない公演と、アニメの流れに節目を作る公演をやって、この5thでブラッシュアップされてついにver.1.0のシンデレラガールズが完成したんだなと思います。3時間にパッケージされたショーとして完成された、そしてここを新たな起点としてアップデートしていくのだろうなと。

今までシンデレラについては好きな人が行けばいいというくらいに思っていたのですが、今回のツアーはデレステを少し触っているという人も足を運べば、どの公演であれ楽しいのではないかと思います。そして、いつ終わってもという心持ちでいましたが、シンデレラガールズ、これならあと10年戦えるなって思いました。

 

あとは曲の感想とか。

・「にょわにょわーるど☆」楽しい。れいちゃまのきらりは徹底してるなあと。

・「cherry*merry*cherry」めっっちゃ可愛かったです。やばい。大空直美さん、ただ面白いだけの人ではなかった。

・「たくさん!」すみぺが、ヤバい番組をしている人とは思えないくらい綺麗にアーニャしてるし、アーニャがこういう曲歌っているというのも、とても良かった。

・「ミラクルテレパシー」舞台上での演者としての鈴木絵理という人は凄いなと思いました。表情とか全身使った表現がとてもとてもゆっこで。

・「キラッ!満開スマイル」ほんとこの曲好きです。昭和。

・「BEYOND THE STARLIGHT」誰がいないとか感じさせない、このメンバーもシンデレラガールズ、今回出ていないメンバーもシンデレラガールズっていうことを強く感じました。

・「One Life」歌上手い、格好良い。CDよりライブの方が映えるなあと。

・「気持ちいいよね 一等賞!」まこさん、地元ということで滅茶苦茶気合入っていたし、気持ちも入っていたなあと。

・「メルヘン∞メタモルフォーゼ!」この曲でも、というよりこの曲になって更にウサミンは生き様だと思いました。三宅麻理恵安部菜々による渾身のウサミンだった。

・「∀NSWER」「Lunatic Show」美玲、小梅、ありすで激しい曲を2曲。こういう組み合わせでくるのも面白いなと思いました。そして、そういうライブの楽しみ方がこれからもあるんだろうなと。

・「あんきら ! ?狂騒曲」ちょっと2番からなんですかあれ。あんきらPを殺して塵も残さないつもりですか。曲だとかライブだとかじゃなくて、ステージ上であんきらだった。いや凄かった。

・「サマカニ!!」たーのしー! 全般通してのぐちゆりさん声が独特で、MCも歌もどのタイミングで入っても分かるの面白いなって思いました。

・「EVERMORE」その時、そのメンバーで歌うからこそのエモさが常にあるなこの曲って。

ディメンションW 12 / 岩原裕二

 

 一気に話のスケールが大きくなって最終章という感じがしてきた12巻。丸々残っていた形のミラの二重コイルと百合崎博士の関する謎が、シンジケートとニューテスラ、そして次元Wにこう繋がってくるのかと。まあ、よくよく考えれば無尽蔵の資源なんてそんな都合の良いものは無いよなあと。

そしてミラがどんどん人間らしくなっているのもあり、キョーマがミラをロボット扱いしないのがとても良いです。人間として扱っているのかは分からないものの、あのコイル嫌いがミラを自分自身の自由意志を持つ存在として扱っているのは感慨深いです。そしてちゃんとエリーを拾っているキョーマはやっぱりなんだかんだ面倒見がいいなあと。

全般ちょっと説明多めの巻でしたがそれを感じさせない上手さあり、そしてこの先への下地はバッチリという感じで、ここからの展開が非常に楽しみです。前の巻でのシンジケートとの力の差を見ると、あまり明るい未来が見えないのは心配ですが……。

恋は光 6 / 秋★枝

 

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

恋は光 6 (ヤングジャンプコミックス)

 

 表紙を見て「おや?」とは思ったのですが、まさかそこからこういう爆弾が降ってくるとは!

この作品の人間関係って、東雲みたいなタイプがいる割にぬるま湯的というか、あの交換ノートもそうですが、同じ男を好きだと分かっている3人の友人関係だったり、西条と北代の腐れ縁的な繋がりだったり、一歩手前の心地よさみたいなものがあって、それがとても好きだったのですが。

そりゃあまあ、長くは続かないだろうということを匂わせ始めたところでなにかあるとは思っていましたが、「光」って結局恋を示しているのかどうかすら分からないのにうっかり読者としても信じすぎていたなあと。そして、もう一人のJKはここの人間関係に絡んでくるのではなくて、そういう役回りか騙された! みたいな。

いやもうドラクエⅤはビアンカでしょ的なレベルで、幼馴染北代報われろ派としては願ってもない展開だとは思うのです。思うのですが、ちょっとあまりに爆弾すぎるというか、もう少しソフトランディングさせてくれないと大分危ういというか、これまでがぬるま湯だった分だけ、この関係、相当酷いことになりそうでちょっと心配です。これまで彼ら彼女らを見てきていると、皆幸せになってほしいなあ、と。

空電ノイズの姫君 1 / 冬目景

 

 ちょっと天然気味で子供っぽさの残るギター少女。ワケありな転校生の黒髪ロング少女。くすぶっているモラトリアムなバンド青年。これまで多かった美術ではなく、音楽をテーマにした変わり者たちの青春模様は、これぞ冬目作品な魅力にあふれていました。羊のうたではなくてイエスタデイをうたって系統の冬目景の美味しいところ盛り盛りでちょっとこれは素晴らしい。

磨音と夜祈子の間に生まれてくる友情も、磨音が中心を失ったバンドから求められるお話も、どちらもまだ始まったばかりという感じで交わりませんし、夜祈子の抱えた事情についてもこれからという感じで導入の1巻。ですが、今この時点でも面白いのだからこれはきっとこの先も間違いなく面白いと思える一冊でした。

あと、ベタですけど磨音がギターを弾く時に髪をバサッと解くのが良いなあと。マンガなので当然音はないし、この作品は演奏シーンで擬音もないのですが、ビジュアル的にはもちろん、音まで含めた躍動感が感じられて好きです。

クロックワーク・プラネット 1 / 榎宮祐・暇奈椿

 

クロックワーク・プラネット1 (講談社ラノベ文庫)
 

アニメが始まったということで積読の山から引き出して来たのですけど、おっもしろいなこれ!

榎宮祐はグリパケ、ノゲノラと面白いけれど合わなくて途中で脱落してしまっていたので避けていたところはあったのですが、合うとか合わないとか些細なこと言わずに読まんかいと引っ叩かれるような一冊でした。

まず、寿命を迎え滅びに向かっていた地球を、何者かが全てを歯車に置き換えることで救ったという大ハッタリから入る導入からワクワクするのですが、その歯車の世界で展開される2人の天才の物語がとても面白かったです。

大人の理屈だとか、必要な犠牲だとか、権力争いだとか、そういう社会のしがらみを突き抜けるのは子供の理想と天才性。そして、手にしたリューズという破格の力を持つ自動人形。それが本当に正しいことかなんてものは関係なく、それが正しいと思うから行動し、そして彼らにはその力があった。例えばノゲノラなんかも同じような話ですが、あれはそういう存在こそが正しい世界が舞台にあった訳で、それをある程度普通の社会でやったら、そりゃあ辿り着くところは理想を叫ぶテロリストよねというところまで徹底していて、ここまでくるともう痛快です。

そしてこの物語、あとがきでも言及されている通り二人のタイプの違う天才が出てくるのが面白いです。傲岸不遜で口の悪い凄腕時計技師の少女マリーは1%のひらめきと99%の努力を地で行くような天才タイプで、他はさっぱりでも超能力めいた聴覚を持つナオトは天才というよりはもはや異能というタイプ。そしてこの2人が反目しつつもがっちり噛み合って、一人では為せないことを為すというのが王道ながらに最高でした。ちなみにマリーが私の好きなタイプのキャラにぴったりハマりすぎて困る。

そんな感じに面白かったのでこれは続きも読まねばと思います。