- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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重いテーマは嫌いです。自分のことで精一杯なのに、そこまで考えているような余裕はないとも思います。思考は外よりも内に向かいます。
それでも、これが多方面で絶賛されるのはわかるなぁと。
向き合うのすら難しくって、それ以上に描く事が難しいだろうテーマを、良くこんな風に描けるなぁと思います。過剰なセンチメンタリズムに流される訳でも、過度のプロパガンダがある訳でも、カタルシスを感じさせる悲劇な訳でもなく、ただ心にじんとする物語。夕凪の街は私なんかには上手くいえるものでは無いんですが、桜の国では登場人物たちの背負い込んだものは重く、常に死や差別が付きまとうのに、ここまで生きることを温かな目線で讃え上げられるんだなぁと感心。むしろ、戦争があること、原爆があったということ、死ぬという事があるから、確かに輝きだすのが生であって、平和であるのだなと思います。だから、私は当たり前すぎて、比較対象も持たない故に認識できなくなっている、生きているということ、平和であるという事を忘れないためにも、こういうことがあるのだということは忘れちゃいけないのだと思います。
なんか、修学旅行の感想文みたいな文章になってますが、私みたいな捻くれ者がこういう感想を実に素直に持てたあたり、やっぱりこの漫画はステキだなぁと思います。
満足度:A+